日鉄物産と三井物産は3日、両者の繊維事業の統合に向けた基本合意書を締結した。日鉄物産の繊維部門と三井物産の繊維事業の中核子会社である三井物産アイ・ファッションを来年1月をめどに統合する。新会社は日鉄物産と三井物産が50/50を出資、取締役も同数で構成する。日鉄物産の繊維事業の20年3月期の売上高は1300億円、三井物産アイ・ファッションは約1100億円で、いずれも繊維商社として大手グループの一角を占めてる。日本のアパレル市場の縮小と新型コロナ禍が、新たな業界再編を推し進めた形だ。
日鉄物産の繊維部門は、名門繊維商社イトマンがルーツで、現在はアパレルOEM(相手先ブランド生産)・ODM(相手先ブランドの企画生産)が売上高の大半を占めており、特に百貨店やセレクトショップなどウイメンズの中高級ゾーンに強く、同分野の供給で高いシェアを占める。ただ、同社の得意とする中高級ゾーンはアパレル製品の二極化が進み、市場の縮小が続いていた。同社で繊維事業を管掌する吉本一心(かずみ)常務執行役員は「さらなる成長を考えたときに、当社の強みを生かせて、弱みを補足できるアライアンスを1年半前から検討していた。三井物産は川上から川中、川下まで幅広い分野で事業を展開しており、当社からすると統合のシナジーが大きく、両社の持っているリソースを最大限に活用できる」という。
三井物産は18年1月にビギ、メルローズ、パパスなどを傘下に持つ大手アパレルのビギグループを買収、20年11月にはファッション・繊維事業部がコスメのスタートアップ企業であるバルクオムへ出資するなど、ファッション・コスメ市場への積極的な投資を再開している。三井物産アイ・ファッションも最新の3DCADなどデジタル技術を活用した新しいビジネスモデルへの投資を行っている。
今後は6月までに統合の最終契約を締結、来年1月に本統合を実施する。