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資生堂がパーソナルケア事業を投資ファンドに売却 新会社の株主として参画

 資生堂は3日、「ツバキ(TSUBAKI)」「専科(SENKA)」「ウーノ(UNO)」などマス市場を中心に展開する低価格帯化粧品を扱うパーソナルケア事業を、投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズ(CVC Capital Partners以下、CVC)に売却すると発表した。売却額は1600億円。資生堂はCVCが手掛ける同事業に35%を出資する形で経営に関わる。

 具体的には、国内の資生堂グループの同事業にかかる資産・負債を同社が新たに設立する新会社に7月1日付で承継し、同日付で新会社の全株式をCVCが投資助言を行うファンドが出資するオリエンタル ビューティ ホールディング(Oriental Beauty Holding以下、OBH)に譲渡。海外は子会社からOBHの子会社への資産譲渡によりそれぞれ承継する。その後、同日付でOBHの完全親会社であるアジアン パーソナル ケア ホールディング(Asian Personal Care Holding)の株式の35%を取得し合弁事業化。CVCと共に同事業のさらなる成長と発展を目指す。株式譲渡に伴い、同事業は同社の連結対象から外れる。

 今回の事業譲渡の背景には、同社が2015年から中高価格帯ブランドを重視する「プレステージファースト戦略」を掲げ、事業再編により業績を向上させてきたことがある。化粧品事業の売り上げが全体の70%以上を占める中、パーソナルケア事業は広告宣伝費を含むマーケティング投資が必要なビジネスモデルでありながら優先順位を上げられないジレンマがあった。同事業を資生堂の枠組みから分離・独立させ、新しい組織を合弁事業化することでさらなる自由な発展が可能になるとの長期的な視点から今回の判断に至った。

 目的はマーケティング投資の強化と社員の成長機会の創造にあり、投資先企業の事業成長と企業価値向上の実績を持つCVCをパートナーに選定した。CVCの人的、金銭的経営資源を得て、商品イノベーションを加速させ、デジタルを含むマーケティングや販売、人材組織への投資を最大化する。製品開発や工場機能を持たないファンドであることから、R&D部門などを新会社に移行し製造は資生堂が行う。同事業に関わる社員の人事処遇を維持し、卸や小売りなど既存の流通体系も継続する。

 魚谷雅彦資生堂社長兼CEOは、「今回の事業譲渡はコロナ禍の短期的な局面が直接的要因ではない。パーソナルケア事業はコロナ禍で売り上げが伸びており、事業価値を感じている。長期的な視点に立ち同事業のポテンシャルを最大化し、さらに成長させるためにマーケティング投資が不可欠であり、新しい事業モデルが必要と判断した」と話した。

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