この製品が、ぶっちぎりで売れた理由
この記事(全国の百貨店29店舗に20年下半期のヒットコスメを調査 1位は「イプサ」の定番化粧水)の通り、2020年下半期のビューティ界では「イプサ」の“ザ・タイムR アクア”が、他ブランドを圧倒する勢いを見せつけました。「WWDジャパン」は製品別の売れ行きについて、全国の百貨店にアンケートを送付。1位を獲得した製品に5点、2位には4点、(中略)5位には1点を与え合計得点を集計すると、な、なんと“ザ・タイムR アクア”は2位のダブルスコア以上の得点を獲得!ん~、ゴイス~です。
一体全体、どうして“ザ・タイムR アクア”は、こんなに売れたのでしょう?来店やタッチアップがためらわれる中、安心の定番が求められたのは、間違いのないところです。しかし、私はそれ以上の理由があると踏んでいます。真の理由は、「いかようにも解釈できる」です。
例えば皆さんは、この“ザ・タイムR アクア”をご覧になって、どんな印象を抱くでしょう?使ったことある人には、「スッキリしたみずみずしさ」や「他よりも浸透するカンジ」「無香料・無着色」「他に比べて手頃」なんて答える方がいるでしょう。一方、使ったことがない人は、「見たことある商品」とか「ミニマルなデザイン」「部屋においても馴染みそう」「男性でも使えそう」「家族とシェアできちゃうかも?」などを想像するでしょうか?そう、このブランドはスキンケアのエキスパートであり、ジェンダーフリーとも言え、生活空間にこだわる人も取り入れられる。結果“ザ・タイムR アクア”は、スキンケアにこだわる人も、男性も、スタイリッシュな空間に住む人も取り入れられる、間口が広く、懐の深い製品と捉えられているのだと思います。
(なんだか資生堂賛歌っぽくなってしまい恐縮ですがw)「バウム」も、そんなカンジですね。オーガニックやナチュラルに興味があるひと、サステナブルへの関心が高い人、香りが好きな人、これまたジェンダーフリーでスタイリッシュなデザインを求める人、「カリモク」ファン(笑)、いろんな方の琴線に触れそうです。実際、デビューしてから今に至るまでは、フレグランスなどの売り上げも高いそう。ビューティブランドですから、ここから肝心のスキンケアに誘う施策はお手並み拝見ですが、「自由に楽しめる、みんなのビューティ・ブランド」として受け入れられそうな気配が漂います。
「いかようにも解釈できる」ファッションブランドと言えば、どこでしょうか?答えは簡単、「ユニクロ」ですよね。「手頃」「シンプル」「機能的」「程よくトレンディ」「+Jとかはむしろモード」……。ホラ、誰もが、いかようにも解釈でき、“自分ごと”化できます。あなたのブランドは、「いかようにも解釈できる」でしょうか?「解釈の余地を残す」って、すごく重要だと思うんです。
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