ラグジュアリーの次の一手はリセール?
「グッチ」や「サンローラン」を擁するケリングがいよいよ二次流通に本腰ですね。パリ発のリセールサイト「ヴェスティエール コレクティブ」に出資です。
> グッチ」親会社ケリング、二次流通サイトに出資 傘下の「アレキサンダー・マックイーン」も提携
ラグジュアリー・リセール企業といえば、まずアメリカのザ・リアルリアルが筆頭で、「ステラ マッカートニー」が18年にいち早く提携しました。「商品のライフサイクルを伸ばす」がその意義。さすがサステナビリティ先駆者、アクションが早かったですね。
その後、「バーバリー」や「グッチ」も提携。サステナビリティの観点もありますが、商品を持ち込む人は当然ブランド顧客なわけで、クーポン配布で新作の購入を促すなど、新たなタッチポイントになっています。
リセール品を買う人も、つまりブランドのファンです。しかもリセールの顧客は若い層が多い。顧客になりうる層へアプローチできるというのも大きな魅力です。
いかに顧客にブランドや商品と長く付き合ってもらうか。商品を売っておしまいにしない循環型のビジネスモデルを作るうえで、リセールは外せない取り組みになってきていますが、顧客との関係作りにも有効で、マーケティング視点でも多くの情報が得られるとなれば、ブランドにとってはいいこと尽くし。リセール商品にまで責任を持つことは、ブランド価値を守るという意味でも非常に重要です。
高級時計やハイジュエリーの世界ではブランドが商品を買い戻して再販することが前から行われていて、「カルティエ」などを傘下に持つリシュモンは18年に高級時計の二次流通企業を買収しています。二次流通を始めたファーフェッチにも投資していますから、大きなポテンシャルを感じているんだろうなと思います。
ザ・リアルリアルはアメリカ市場に強いのですが、欧州となると「ヴェスティエール」でしょう。まずは「アレキサンダー・マックイーン」が先行しましたが、もれなくケリング傘下ブランドが続くことでしょう。資本参加なので、それ以上の取り組みもあるかもしれません。というか、ブランドとしてはリセールはサービスとして標準装備になっていくんじゃないでしょうか。
リシュモン、ケリングとくれば、次はLVMH。「リセールには強い関心がある」と幹部が公言していますから、ラグジュアリーリセール市場はこれから大いにアツくなりそうです。
VIEWS ON WWD US:「WWDJAPAN」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙です。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。そんな米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説します。エディターズレターとは?
「WWDJAPAN」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在8種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。