シャネルは、国際的な美術館やギャラリーなどとパートナーシップを結んでアート業界の支援に取り組むシャネル・カルチャー・ファンド(Chanel Culture Fund)を設立した。同ファンドは3年にわたるプログラムで、ブランドの伝統であるパトロン文化や、ガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanell)創業者が大切にした芸術家や職人を支援する精神を引き継ぐ。
ファンドの一部として、「シャネル ネクスト プライズ」を立ち上げる。応募条件において性別や国籍、年齢は問わず、音楽やダンス、パフォーマンス、ビジュアルアートの分野から、その分野に新風を巻き起こしている10人を選出する。入賞者は10万ユーロ(約1300万円)の賞金に加えて、シャネルが運営するメンターシッププログラムやネットワーク・コミュニティーへの参加権を獲得する。選考はインターナショナル・アドバイザリー・ボードを設立して行う。詳細はおって発表するという。
国際的な美術館やギャラリーなどと結んだパートナーシップでは、業界を超えたコラボレーションを促進し、アート業界へ新しい視点を提供する。提携先とプロジェクトをともに立ち上げ、スポットライトが当たりづらい分野に光を当てて文化と社会に貢献する変革的なアイデアの誕生を支援する。中国を中心に、アジアでの新たな文化的パートナーの確立にも乗り出した。
提携先は、ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリー(Narional Portrait Gallery)やロサンゼルスのアンダーグラウンド・ミュージアム(The Underground Museum)、パリのポンピドゥー・センター(Centre Pompidou)、モスクワのGES-2など。ナショナル・ポートレート・ギャラリーでは2023年のリニューアルオープンに向けて、「物語を再解釈する(Reframing the Narrative)」というプロジェクトに取り組む。チームはコレクションやディスプレーに表れている女性の存在や描かれ方に焦点を当てて研究やまとめを行う。
ほかにも、アンダーグラウンド・ミュージアムとは共同で、新しいことに挑戦するキュレーターを支援する資金を提供する。ポンピドゥー・センターでは、サステナブルな都市開発とコミュニティー育成のための新しいエコシステムの構築を目指して、デザイナーとアーティスト、科学者をつなぐ長期プロジェクトを立ち上げる。GES-2では3年間のメンターシッププログラムとそれに伴う研修期間の保障を行って、演劇や音楽、ダンス、映像の分野で多岐に活躍するロシアの女性アーティストらを支援する。
シャネルは21年1月に、映画やアート、建築、ダンス、音楽、ファッションなどの分野で活躍する著名人らが出演するポッドキャストシリーズ「シャネル・コネクツ(CHANEL CONNECTS)」をスタートした。ロンドンのサーペンタイン・ギャラリー(Serpentine Gallery)で最高経営責任者も務めたヤナ・ピール(Yana Peel)=シャネル アートおよびカルチャー部門グローバル・ヘッドは、「世界が複雑で新しい環境に向かって進むとき、アーティストたちはいつも社会を前進させるアイデアを生み出してきた。シャネルは長くにわたってアートの活性化と進歩を支援してきた。その伝統を受け継ぎ、未来を開拓していく者をサポートしたい。新しい方法で文化を生み出すことを楽しみにしている。人々を惹きつける斬新な方法や、『シャネル』だから実現できるプロジェクトとは何かをイノベーターたちとともに突き詰めていきたい」と語った。