グーグル(GOOGLE)傘下のユーチューブ(YOUTUBE)は、1分程度の短尺動画を扱うショート(Shorts)の試験運用をアメリカで開始した。2020年9月からインド限定で試験運用していたが、今後数週間のうちに同機能のベータ版を段階的に公開し、全米で使用できるようにする。
ショート動画では、複数の動画のつなぎ合わせや音楽の使用、動画スピードの調整に加えて、文章の挿入や他の動画を音源として使用することができる。ユーチューブに投稿された動画を音源化する機能も開始する予定で、ミュージックビデオや新曲を公開するプラットフォームとして音楽業界と深いつながりを持つユーチューブの特性を生かす。視聴者はショート動画をパソコンではトップページから、スマートフォンでは特設タブからそれぞれ閲覧可能となる。特設タブではティックトック(Tiktok)やインスタグラムのリール(Reels)のように、縦スワイプで流れるように動画が見られる。
トッド・シャーマン(Todd Sherman)=プロダクト・リードは、「ショート動画を投稿するインドのチャンネル数は、12月の初めからから3倍以上増えている。世界中からショート動画を閲覧する人も増えてきた。3月現在、ショートプレーヤーでの再生が1日あたり65億回を超えている」とコメント。新たにアメリカでの試用を開始することで、「ユニバーサル・ミュージック・グループ(UNIVERSAL MUSIC GROUP)やソニー・ミュージック・エンターテインメント(SONY MUSIC ENTERTAINMENT)、ワーナー・ミュージック・グループ(WARNER MUSIC GROUP)など250を超えるレーベルによる幅広い“音楽カタログ”がそろう」と、ユーチューブの強みを示唆した。
ショート動画の導入によってクリエイターたちによるメインの動画から逸脱させるのではなく、連携できるプラットフォームへの発展を目指している。ショート動画に使用する音楽をコンテンツのためとしてだけでなく、視聴者がショート動画をきっかけに音源に関心を持ち、クリエイターやアーティスト、フルアルバムについて知っていくような環境を構築する。現段階では利用方法や表示に関する疑問がインターネット上に溢れており、ユーチューバーにとってもショート動画の視聴時間が総再生時間に反映されないという点が混乱を招いている。しかし新機能はティーザー動画に似た性質を持っており、今後詳細が詰まるにつれてインフルエンサーや企業にとって有効な宣伝ツールとなる可能性を持つ。