百貨店主要5社の2021年3月度業績は、おしなべて前年同月比3割増だった。大幅な増収は、前年の新型コロナウイルスによる客数減の反動によるところが大きい。
各社の前年同月と比較した売上高は、三越伊勢丹が31.1%増、高島屋が29.5%増、大丸松坂屋百貨店が33.3増、そごう・西武が25.7%増、阪急阪神百貨店が32.7%増。特に首都圏・関西圏では特に「緊急事態宣言」の解除(23日)以降、人出の増加とともに客足が回復した都心店が業績をけん引した。
店頭で売れたのは、特選衣料・雑貨や美術・宝飾・貴金属などの高額品。三越伊勢丹は、伊勢丹新宿本店が同35.5%増、三越日本橋本店が同29.7%増、三越銀座店が同33.9%増。両本店では美術・宝飾・貴金属カテゴリーが同72.5%増で、前々年の実績も上回った。「高額品の売れ方には年末商戦に迫る勢いがある」(同社広報)。ラグジュアリーを重視した改装(19年9月)を行った大丸松坂屋百貨店の大丸心斎橋店も、同60.0%増と成果が出ている。同社全体で特選婦人服・洋品は同84.9%増。高島屋も特選衣料雑貨が前年比約70%増と伸ばしており、「(富裕層が)海外旅行に行けなくなった分、その恩恵を受けている」(同社広報)と捉える。
一方でボリュームゾーンの衣料品に関しては不振が続く。高島屋は19年3月と比較した衣料品カテゴリーは4割減で、「(他のフロアと比較しても)お客さまの戻りが鈍い」。コロナ禍を経て、客離れがより鮮明になっている。