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「グッチ」の親会社、イタリアに新たな物流拠点 年間最大8000万個を出荷

 「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」などを擁するケリング(KERING)は、伊ピエモンテ州トレカーテに新たな物流拠点を設立した。

 トレカーテはミラノから車で1時間程度、ミラノ・マルペンサ国際空港からも20kmほどの距離にある。2019年4月に着工した同施設はおよそ16万2000平方メートルの広さで、ラグビー場にして20面ほど。第1期分はすでに竣工しており、20年3月から稼働している。第2期分は21年4〜6月(第2四半期)に稼働する予定。現在は約250人の従業員が働いており、22年末にはこれを1000人程度まで拡大する。運営は長年の物流パートナーであるXPOロジスティクス(XPO LOGISTICS)が行う。

 ケリングのジャン・フランソワ・パルー(Jean-Francois Palus)=副最高経営責任者は、「ラグジュアリー業界においてもECの売り上げは伸び続けており、より迅速な配送サービスが求められている。現在および将来的な業務要件を見据えて、アジア、アメリカ、欧州における当社の物流網を一から見直して再構築し、完全なオムニチャネル化に向けて改革を進めている」と語った。同氏はこの施設の建設費用などは明らかにしなかったものの、「イタリアへの投資額としてはこれまでで最大」だと述べた。

 同社の物流拠点の基幹となるこの施設は20の倉庫を備えており、取り扱い可能な出荷量は年間最大8000万個、保管量は最大2000万個。世界中の店舗や倉庫からの注文に応じて80カ国以上に出荷でき、ECの注文は3時間以内に処理される。これによってリードタイムを50%短縮できるほか、アイテムごとの配送コストは25%削減されるという。

 最新鋭の設備があるこの施設は環境にも配慮されており、欧州で最大級の屋上太陽光発電システムを導入する。建物完成時には合計12.7MWp(メガワット・ピーク)の太陽光パネルが設置され、二酸化炭素排出量を年間7500トン削減できるという。同施設はイタリアで初めて生産エネルギーが消費エネルギーを上回る複合工業施設であり、余剰電力は配電網を通じて同国内にあるケリングのオフィスや傘下ブランドの店舗に供給される。

 また同施設は、建物や都市に関する環境性能評価システムLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)のプラチナ認証を取得する予定であり、それに加えて建物利用者の健康面に配慮した室内環境評価システムWELL(WELL Building Standard)のゴールド認証を目指している。

 ケリングは米国における物流拠点をニュージャージー州に移設したほか、中東の拠点をドバイに建設した。アジア地域の拠点は現在計画中だが、シンガポールが有力な候補地として挙げられているという。

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