ファッション

「ボッテガ・ヴェネタ」のベルリンでのショーがSNSで炎上 “特権階級主義”な行動に批判の声

 「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」が4月9日にドイツ・ベルリンで行ったファッションショーが、物議を醸している。厳しいロックダウンの最中にあるベルリンで、関係者やゲストが規制を遵守していなかったという疑惑からSNSを中心に炎上。同ブランドは1月に公式インスタグラムアカウントなどを閉鎖してSNSと距離を置いているが、今回のイベントに対する反発とは無縁ではなく、参加者やそのスナップを掲載したメディアのアカウントに多くの批判的なコメントが書き込まれている。

 事の発端は、4月9日に有名ナイトクラブのベルクハイン(BERGHAIN)で開催された、2021-22年秋冬コレクションにあたる「サロン02(SALON 02)」のシークレットショーだ。「ボッテガ・ヴェネタ」は昨シーズンからコレクションの発表形式を刷新し、少数のみのゲストを招待したショーを撮影して、数カ月後にその映像を公開している。今回も現地の感染拡大防止ルールを守り、現地のゲストを呼んで撮影を行うだけなら問題はなかっただろう。しかし、そこにはヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)やスケプタ(Skepta)といった海外から渡航したセレブリティーも含まれ、会場周辺で撮られたスナップがインターネット上に出回ると、その写真を投稿した「ヴォーグ オム(VOGUE HOMMES)」などのインスタグラムアカウントにイベントに対する批判が上がり始めた。さらに、関係者やゲストが宿泊していた会員制クラブ兼ホテルの「ソーホーハウス(SOHO HOUSE)」でアフターパーティーが行われたという情報や、マスクなしでソーシャル・ディスタンスも取らずに盛り上がる模様を収めたストーリーの動画が拡散され、火に油を注ぐことに。この問題を非難するインスタグムアカウント「ボッテガ ヴェネトノー(Bottega VenetNO)」まで登場し、12日にはファッション界のさまざまな不正を糾弾するアカウント「ダイエット プラダ(Diet Prada)」も投稿を行った。

 現在、ベルリンは新型コロナウイルスの第3波に見舞われ、感染者が急増。昨年11月から規制の内容が何度も変わりながら、終わりの見えないロックダウンが続いている状況だ。市民が厳しい接触制限や渡航制限を強いられる中で規制を軽視したブランドや参加者に対しては、「街全体への大きな侮辱」や「恥を知れ」「特権階級的」「ベルリンに住む人々は21時以降(自分の世帯以外の)誰とも会うことができないのに、こんなパーティーが許されるのは二重規範だ」「モラルに欠けた行動」などの辛辣なコメントが寄せられた。また、アメリカやイギリス、イタリア、フランスを含むリスク地域(独ロベルト・コッホ研究所が指定する感染リスクの高い地域)からベルリンへの渡航者には、原則として入国後最低5日間の隔離義務(入国後5日目以降のコロナ検査で陰性が確定した場合のみ。それ以外の場合は10〜14日間)が生じる。そのため、対象国から渡航した関係者やゲストがこの義務を遵守していないのではないかという疑問の声も上がっている。

 現地在住者の感覚で言うと、長引くロックダウンでベルリン市民は我慢することに疲れ切っているし、必ずしも皆が規制をきちんと守っているわけではない。そして、SNSのコメントの中には、“ベルクハインでパーティーが行われた”と事実を誤認しているものもある。しかし、影響力のあるビッグブランドやセレブリティーがこういうことを行ってしまうと、炎上するのは目に見えている。なお、「ボッテガ・ヴェネタ」は米「WWD」の取材に対し、コメントを拒否。13日時点では、公式のコメントも発表されていない。

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