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「ルイ・ヴィトン」親会社、21年1~3月期は30%増収 時価総額は39兆円を突破

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2021年1~3月期(第1四半期)決算は、売上高が前年同期比31.7%増の139億5900万ユーロ(約1兆8146億円)だった。コロナ禍以前の19年同期と比べても、既存事業および現地通貨ベースで8%増だった。

 部門別の売上高では、「ルイ・ヴィトン」「ディオール(DIOR)」「フェンディ(FENDI)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」などのブランドを抱える主要事業のファッション・レザーグッズ部門が同45.1%増の67億3800万ユーロ(約8759億円)、香水&コスメティクス部門は同12.1%増の15億5000万ユーロ(約2015億円)、ワイン&スピリッツ部門は同28.5%増の15億1000万ユーロ(約1963億円)といずれも好調だった。

 20年12月に総額158億ドル(約1兆7222億円)で買収したティファニー(TIFFANY & CO.)が今期から組み込まれているウオッチ&ジュエリー部門は、「ブルガリ(BVLGARI)」が好調だったこともあり、同137.7%増の18億8300万ユーロ(約2447億円)と2倍以上の伸びとなった。「ティファニー」の売り上げは、19年同期との比較で8~9%増となっている。 

 免税店のDFSや化粧品のセレクトショップ、セフォラ(SEPHORA)を運営するセレクティブ・リテール部門は、観光客の不在が響き、同11.0%減の23億3700万ユーロ(約3038億円)だった。

 なお19年同期との比較では、既存事業および現地通貨ベースで、ファッション・レザーグッズ部門が37%増、香水&コスメティクス部門は4%減、ワイン&スピリッツ部門は17%増、ウオッチ&ジュエリー部門は1%増、セレクティブ・リテール部門は30%減となっている。

 全体として非常に好調だった決算内容を好感し、LVMHの時価総額は4月13日に初めて3000億ユーロ(約39兆円)を突破。17年と比べ、およそ3倍に膨らんでいる。

 ジャン・ジャック・ギヨニー(Jean-Jacques Guiony)最高財務責任者(CFO)は、「『ティファニー』のブランド力はとてつもなく強く、極めて大きな可能性を持っている。そこに疑いの余地はない。しかしその可能性を最大限に引き出すには販売網、マーチャンダイジング、マーケティングなどにおいて適切な戦略が必要であり、それを実行するには何年もかかる。大変な仕事だが、腰を据えてじっくりと取り組んでいきたい」と語った。

 ラグジュアリー業界では、臆測の段階にあるものも含めて買収の話題に事欠かない。アナリストやメディア向けの決算説明会で、検討している買収案件はあるかと問われたギヨニーCFOは、「ほかにやるべきことがある。現在は『ティファニー』をグループ内に統合し、長期的に成長させていくことが最優先事項だ。全てのリソースをそこに注ぎたいので、次の買収を検討している場合ではない」とこれを否定した。

 LVMHは四半期ベースでの地域別の売上高を開示していないが、米国とアジア地域が力強く成長した一方で、欧州は再ロックダウンなどの影響により回復が遅れているという。21年1~3月期では、売り上げ全体の41%がアジア地域によるものであり、中でもコロナ禍の影響から一足早く回復している中国市場は非常に重要な存在だ。

 中国では最近、新疆ウイグル自治区で生産されたコットンの使用中止を発表した企業に対する批判が高まっており、そうしたブランドの一つである「H&M」に対しては不買運動が起きている。LVMH傘下のブランドが同じようにボイコットされるリスクを考えたことはあるかという質問に対し、ギヨニーCFOは、「どの国においても成功することに脅威を感じたことはない。中国問題に関して誰もが話題にしているが、個人的には(脅威ではなく)ビジネスチャンスだと捉えており、中国で展開している事業について満足している。中国が複雑な国であることは否定しないが、それはどの国や事業も同じだと思うので、何か悪いことが起きるかもしれないというような心配はしていない」と述べた。同社はこれまで、新疆綿やウイグル問題に関する声明などは発表していない。

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