「コーチ(COACH)」「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」「スチュアート・ワイツマン(STUART WEITZMAN)」などを擁するタペストリー(TAPESTRY)は、2020年7月より「コーチ」のブランドプレジデント兼最高経営責任者(CEO)を暫定的に務めてきたトッド・カーン(Todd Kahn)を4月15日付で同職に正式に任命した。
「コーチ」はここ数年、トップの異動が続いていた。17年6月から同ブランドを率いていたジョシュア・シュルマン(Joshua Schulman)元ブランドプレジデント兼CEOが20年3月に退任した後、ジデ・ザイトリン(Jide Zeitlin)前タペストリー会長兼CEOが同職を兼任していた。しかし、同氏は07年に女性を誘うためにフォトグラファーを装ったという疑惑が表面化したことを受けて20年7月に退任。このため、当時は社長兼最高管理責任者兼書記役を務めていたカーン=ブランドプレジデント兼CEOが暫定的に就任していた。
ジョアン・クレヴォイセラ(Joanne Crevoiserat)=タペストリーCEOは、「トッドは入社以来、当社の戦略策定に欠かせない人物として活躍してきた。またここ9カ月間にわたって素晴らしい業績を上げ、コロナ禍の中でリーダーシップを発揮している。『コーチ』はデジタル強化などの戦略によって、より若い新規客を獲得して勢いを増している。トッドは同ブランドを率いるのに最適な人物だと確信している」と語った。なお、同氏はザイトリン前タペストリー会長兼CEOの後任として20年7月から暫定CEOを、同10月からは正式にCEOを務めている。
カーン=ブランドプレジデント兼CEOは、「『コーチ』という長い歴史と素晴らしいチームを持つブランドを率いることができ、大変光栄に思っている。『コーチ』はデータを駆使して消費者とコミュニケーションを取り、顧客志向のブランドとして成長してきた。今後もマジックとロジックをバランスよく配分して差別化を図り、エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターであるスチュアート・ヴィヴァース(Stuart Vevers)によるオーセンティックで魅力的な商品を世界中の顧客に提供していく。またオペレーションを磨き上げ、利益性をさらに向上させたい」と述べた。
同氏は08年にシニア・バイス・プレジデント兼ジェネラル・カウンセル兼書記役として入社。最高法務責任者などの要職を経て現在に至る。米証券取引委員会に提出された書類によれば、同氏の基本報酬は年間95万ドル(約1億円)で、業績ベースのボーナスも支払われるという。
タペストリーの20年10~12月期(第2四半期)決算は、売上高が同7.1%減の16億8540万ドル(約1837億円)、純利益は同4.0%増の3億1100万ドル(約338億円)だった。