環境省は4月21日、サステナブルなファッション産業の実現を目的に伊藤忠商事や豊島、H&Mジャパンなどの主要アパレル企業と実施してきた勉強会の成果報告をオンライン形式で行った。今後は「ファッション・ロスゼロ」と「2050年カーボンニュートラル」を共通ビジョンに掲げ、参加企業を中心としたコンソーシアムの設立を目指すと発表した。
環境省は20年9月に「ファッションと環境」タスクフォースを立ち上げ、12〜2月までの計4回にわたって勉強会を開催してきた。報告会には、アシックス、豊島、アダストリア、伊藤忠商事、H&Mジャパン、日本環境設計、クラボウ、東レ、ゴールドウイン、帝人、ユナイテッドアローズが参加し、それぞれ勉強会を経て開始した取り組みなどを報告した。さらに各企業から官民連携に向けた要望として、廃棄衣類回収の仕組み作りや環境配慮型素材開発のための共同プラットフォームの設立および資金援助、消費者に向けた国を挙げてのキャンペーンなどの必要性を訴えた。
タスクフォース立ち上げに伴い実施した調査によると、20年の衣類の国内新規供給量は計81.9万トンで、約9割が使用後に手放されると推計。廃棄される量は手放される衣類の65%に当たる51.2万トンで、リサイクルされる量は計12.3万トン、リユースされる量は計15.4万トンということがわかった。これを受け環境省は、家庭からの廃棄を含む「ファッションロス・ゼロ」を目指し、適量供給とシェアリングサービスなどを活用した循環利用を推進する。
20日の「国・地方脱炭素実現会議第二回」で公表された50年のカーボンニュートラル実現に向けた地域脱炭素ロードマップの骨子には、循環型ファッションの促進に向けて製品ごとの二酸化炭素排出量の見える化などの施策を組み込んだ。
小泉進次郎環境大臣は、「適量生産・適量購入・循環利用への転換が重要だと認識している。クールビズを超えるキャンペーンもみなさんと一緒に考えたい。みなさんからの報告を聞き、競合であっても手を組む姿勢が必須だと感じた。今後のコンソーシアムでは、具体的なアウトプットを期待している」と話した。