菅義偉首相は23日夜、東京都、大阪府、京都府、兵庫県に3度目の緊急事態宣言を発表した。期間は25日から5月11日まで。休業要請によって4都府県の百貨店やショッピングセンター(SC)は一部売り場を除いて大部分を休業する。コロナ禍で1年以上の消費低迷に苦しむファッション&ビューティ業界がさらなる打撃を受けることは避けられず、関係者に危機感が広がっている。
23日21時時点で百貨店やSCは公式な発表は行なっていないものの、食品を除き、アパレルや化粧品など大半の売り場は休業する見通しだ。具体的な休業範囲などについては23日深夜から24日午前にかけてアナウンスされることになる。国や都は商業施設への休業要請について「生活必需品は除く」としており、食品以外に何が「生活必需品」になるのかの線引きが一層の混乱を招いている。百貨店やSCで販売するアパレルや化粧品メーカーは、「商業施設側の方針に従う」(ファーストリテイリング、良品計画、アダストリアなど)としている。
休業に伴う協力金として商業施設に1日20万円、出店するテナントには1日2万円が支給される。ある百貨店の関係者は「百貨店は4000〜5000人の人が働き、1日の売上高は数億円になる。まったく話にならない」とため息をついた。別の関係者は「休業要請の中身の発表から実施まで1日しか時間がない。やり方があまりに稚拙だ」と怒りをにじませた。
東京都は休業要請する商業施設について、1000平方メートル以上の店舗面積で生活必需品は除外するとしているが、百貨店やSC以外の大型路面店などもこの範疇に含まれるかは判断が分かれる。昨年春の緊急事態宣言の際は、都心の小売店が一斉に休業した。だが今回は百貨店とSCが休業する一方で、路面店は通常営業を継続することになりそうだ。緊急事態宣言の対象ではない神奈川県、千葉県、埼玉県の百貨店やSCもそのまま営業する。
23日昼、銀座では多くの人の姿が見られた。百貨店の店内は駆け込み需要もあってか、化粧品売り場などはコロナ禍にしては賑わいを見せていた。江東区に住む30代の女性は「母の日のプレゼントを探しにきた。ゴールデンウイークに来ようと思っていたけど、朝のニュースを見て変更した」と話した。