「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を運営するZOZOの2021年3月期決算は、商品取扱高(GMV)が前期比21.5%増の4194億円、売上高が同17.4%増の1474億円、営業利益が同58.3%増の441億円、経常利益が同60.6%増の443億円、純利益は同64.5%増の309億円だった。コロナ禍でデジタルシフトが加速。特に上期は広告費を抑制したにも関わらず、出店テナントのブランドが在庫を寄せたことで、取扱高が大きく伸び、売上高総利益率(対GMV)は1.3ポイント改善の34.3%に向上。利益面の増加を後押しした。
GMVの伸びをけん引しているのが新規会員の増加で、21年3月末のアクティブ会員数は1年前に比べて129万人も増加し、813万人にまで拡大した。ゲスト購入者も加えた年間購入者の合計は948万人になり、22年3月期での1000万人の大台突破が見えてきた。ただ、ユーザー数の拡大により、商品単価と出荷単価の下落も進んだ。21年1〜3月の商品単価は1年前に比べて4.1%ダウンの3748円、出荷単価は同3.8%ダウンの7991円だった。「新規ユーザーは初回購入で単価の低いアイテムを購入する傾向があるため」(柳澤孝旨副社長CFO)。
GMVで大きく伸びたのがペイペイモールで、年間の取扱高は281億円になった。澤田宏太郎社長兼CEOは「上期はそれほど振るわなかったものの、下期に入ってZホールディングス側が積極的なプロモーションを行ったことで、ものすごく伸びた。こちらの想像以上にリピーターが多く、定着率が高い。懸念していた『ゾゾタウン本店』とのカニバリズムも少なく、今期(22年3月期)も期待できる」という。
22年3月期の見通しはGMVが前期比12.7%増の4728億円、売上高が同10.3%増の1626億円、営業利益が同8.3%増の478億円、経常利益が7.7%増の478億円、純利益が同7.7%増の333億円になった。
また、今期からは出店テナントであるブランドの店頭支援を本格化する。今期中には、出店テナントのブランドの店頭販売員がライブコマースやチャット接客のできる新アプリ「FAANs(ファーンズ)」のローンチも計画しているという。「ゾゾタウン以外の収益機会を増やしていきたい」(澤田社長)考え。