ロリータファッションを愛する青木美沙子は、その普及を目的に日本ロリータ協会を設立し、日本外務省からカワイイ大使にも任命された。とはいえ、社会の偏見や圧力は根強い。ロリータファッションそのものへの偏見に加えて、38歳という年齢に伴う圧力、「ロリータなのに婚活」という“普通”との壁。6月14日発売の「WWDJAPAN」を監修する、辻愛沙子アルカ最高経営責任者(CEO)と対談した。ファッション&ビューティ業界だからこそ大切に考えたい、見た目や容姿にまつわる偏見や先入観について一緒に語り合う。
辻愛沙子アルカCEO(以下、辻):ロリータファッションに対して、ファッション業界人を含む世間の反応は?
青木美沙子(以下、青木):“王道”とは違ったスタイルかもしれないけれど、今なおコスプレの延長と捉えられることもあります。中国を中心にアジアでは広く受け入れられていて、ビジネスとしての価値も存在するのに、発祥の日本ではずっとニッチです。“王道”からかけ離れているから偏見が多く、ロリータファッションは生きづらい。「こんなに人権がないんだ」って思うことも多々あります。「私は、ファッションとして楽しんでいるだけだから」。これを一生かけて伝え続けるのは、大使である私の役割です。
辻:ロリータに向けられる偏見は、年齢を重ねたことでさらに変化がありましたでしょうか。
青木:38歳でロリータファッションをしていると、「ロリータ残飯」や「お化けババア」という言葉を浴びせられることさえあります。ロリータならではの少女性という性質に加えて、そもそもファッションやビューティ全般において「若いことは素晴らしいこと」という価値基準が根付いています。だからこそ、社会からの圧力は変化するんだと感じました。ピンクやツインテールに年齢制限はあるのでしょうか?ファッションと年齢にまつわる偏見は、「25歳までの」とか「アラサーの」など、年齢でファッションや美しさの規範を区切ってきたファッション誌の責任も、少なからずあるのではないでしょうか。
辻:一定の年齢を迎えたら“可愛い”を捨て、"きれい"に移行しなければいけない、年齢からくるルッキズム(エイジズム)も社会に根付いているように思います。それは自分自身の表現の問題だけでなく、恋愛や結婚観にも影響を与えています。青木さんは婚活をされているとのことですが、ロリータファッションをしていて婚活中に感じることは?
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