毎年6月は「プライド月間(Pride Month)」として、LGBTQ+(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなどの性的少数者)コミュニティーを祝うパレードや、権利啓発のイベントが開催される。ファッション&ビューティ業界では、多くのブランドがLGBTQ+コミュニティーを象徴するレインボーモチーフのアイテムを発売し、その利益をコミュニティーの支援に充てるなどして、よりインクルーシブ(包括的)な社会・環境を目指している。今年はレインボーカラーに染まったコレクションを出すだけでなく、継続的な支援を心掛けるファッション&ビューティブランドが増えており、中でも注目の取り組みを紹介する。
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「アグ」のプライド月間キャンペーンから。リル ナズXを起用 ©︎ FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「アグ」
シューズブランドの「アグ(UGG) 」は、人気のファーサンダルなどをレイボーカラーに彩ったオールジェンダー対象のコレクションを発表した。キャンペーンビジュアルには、ラッパーのリル ナズX(Lil Nas X)、トランスジェンダーモデルのハリ・ネフ(Hari Nef)を起用した。また今年で5年目となる「プラウド・プロム(PROUD Prom)」をパシフィック・プライド財団とメディアアドボカシー組織、中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟(Gay & Lesbian Alliance Against Defamation以下、GLAAD)と共に開催。LGBTQ+やアライの若者たちを招待して、それぞれのアイデンティティーや愛を祝った。
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「コーチ」の「プライド イズ ウエアー ユー ファインド イット」から。歌手のリナ・サワヤマを起用
「コーチ」
「コーチ(COACH) 」は、自分が心地よく感じるコミュニティーを見つけ、祝うことの重要性に光を当てたキャンペーン「プライド イズ ウエアー ユー ファインド イット(Pride Is Where You Find It)」を展開。ボブ・ザ・ドラァグ・クイーン(Bob the Drag Queen)、俳優のマイルズ・ハイザー(Miles Heizer)、歌手のリナ・サワヤマ(Rina Sawayama)らが自分なりの「プライド」について語る動画を公開した。レインボーカラーのアパレルやシューズを販売。ヘトリック・マーティン・インスティテュート(Hetrick-Martin Institute)やアルバート・ケネディ・トラスト(Albert Kennedy Trust)、ポイント・ファウンデーション(Point Foundation)、センターリンク:コミュニティ・オブ・LGBTQセンターズ(CenterLink: The Community of LGBT Centers)など、LGBTQ+の若者を支援する団体への寄付もを行う。
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「H&M」のプライド月間キャンペーンから。女優のMJ・ロドリゲスを起用 ©︎ FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「H&M」
「H&M」は、“ビヨンド・ザ・レインボー(Beyond the Rainbow)”キャンペーンを実施。女優のMJ・ロドリゲス(MJ Rodriguez)や、アーティストでアクティビストとしても知られるチェラ・マン(Chella Man)などが自身の経験や想いを語る動画を公開した。「プライド」にまつわる対話を増やし、機会平等に向けた支援に取り組む。集まった寄付金に対してH&Mが上乗せする“マッチング”方式で、トレバー・プロジェクトに寄付支援を行う。
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「アバクロンビー&フィッチ」のプライド月間キャンペーンから ©︎ FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「アバクロンビー&フィッチ」
「アバクロンビー&フィッチ(ABERCROMBIE & FITCH 以下、アバクロ)」は、LGBTQ+コミュニティーの若い年代の自殺防止に働きかけるNPO団体、トレバー・プロジェクト(The Trevor Project)とパートナーシップを結び、プライドコレクションを発売。タイダイ柄やレインボーカラーのTシャツやフーディ、ジャケット、アクセサリーなど24点をそろえた。また、プライド月間を記念したフレグランスも登場。11年目に突入した同パートナーシップを通して、コレクションの売り上げから20万ドル(約2200万円)をトレバー・プロジェクトに寄付する。
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「マック」の“プライド&ジョイ・リキッドラスト ライナー ボールト” ©︎ FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「M・A・C」
メイクアップブランドの「M・A・C」は、11色のアイライナーをそろえた“プライド&ジョイ・リキッドラスト ライナー ボールト”を発売した。収益は全て「ビバ グラム」基金を通じて、アメリカで長く活動を続け、LGBTQ+の若者の健康で安心な未来や平等な権利を支援するへトリック・マーティン・インスティテュートに寄付する。
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「サヴェージ×フェンティ」のプライド月間キャンペーンから ©︎ FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「サヴェージ×フェンティ」
リアーナ(Rihanna 本名:ロビン・リアーナ・フェンティ)によるランジェリーブランド「サヴェージ×フェンティ(SAVAGE X FENTY) 」は、初となるプライドコレクションを発売した。キャンペーンビジュアルではLGBTQ+コミュニティーのメンバー13人をフィーチャーし、ニューヨークを拠点にするフォトグラファー、クイル・レモンズ(Quil Lemons)が撮り下ろした。売り上げはメディアアドボカシー組織、GLAADやニューヨーク発の慈善団体、オードリー・ロード・プロジェクト(Audre Lorde Project)など、複数の団体に寄付する。
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「ヴェルサーチェ」のドナテラ・ヴェルサーチェ=クリエイティブ・ディレクター ©︎ FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「ヴェルサーチェ」
「ヴェルサーチェ(VERSACE) 」は、レディー・ガガ(Lady Gaga)による、若者のメンタルヘルス問題改善に取り組むボーン・ディス・ウェイ財団(Born This Way Foundation)を支援する。LGBTQ+コミュニティーをエンパワーする楽曲として人気を集める“ボーン・ディス・ウェイ(Born This Way)”にちなみ、10年前のツアーでガガが着用したレザージャケットを再現した。ジャケットはオークションにかけ、収益を同財団に寄付する。加えて、Tシャツやベレー帽などもレインボーデザインに仕上げ、一部収益を財団の支援に充てる。
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「ホリスター」のプライド月間コレクション ©︎ FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「ホリスター」
アバクロ傘下の「ホリスター」は、5年目となる取り組みとして、学生のLGBTQ+にまつわる問題に焦点を当てるゲイ・レズビアン・アンド・ストレート・エデュケーション・ネットワーク(Gay, Lesbian and Straight Education Network以下、GLSEN)とのタッグを通じてプライド月間を祝福する。GLSENメンバーとともにデザインしたスイムウエアやアパレル、フレグランスなど、40点をそろえた。25万ドル(約2700万円)を同組織に寄付する。
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「フォッシル」がプライド月間に合わせて発売したプライドモチーフのストラップ ©︎ FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
「フォッシル」
米時計大手の「フォッシル(FOSSIL) 」は、プライド月間に合わせて新たに10点のストラップを発売する。レインボーカラーに染まったものに加え、トランスジェンダー・コミュニティーを表現するブルー・ピンク・白のパターンのストラップを製作した。収益は全額、トレバー・プロジェクトに寄付する。