ボディーソープ、シャンプー、化粧水など、化粧品の多くは、処方の大半を水が占めることが多い。しかし水資源の枯渇が問題視される昨今、化粧品における節水を目指す“ウオーターレスビューティ(Waterless Beauty)”が注目を集めている。
ウオーターレスビューティにはいくつかの取り組み方があるが、主に(1)処方における水の使用量を削減、(2)使用する際の水の量を削減、(3)製造の際の水の量の削減がある。現状最も多いのは(1)で、例えば固形のシャンプーや粉状の洗顔料など、製品は多岐にわたる。フランス発の「イヴ・ロシェ(YVES ROCHER)」はボディーシャンプーの処方を濃縮した“エコボディーウォッシュ”を販売。100mLで通常のボトル(約400mL、約40回分)と同等の回数を使えるもので、これにより処方の水だけでなく、プラスチックの削減にもつながっている。(2)を代表する粉状のドライシャンプーは水でぬらす必要がなく、主に海外ではシャワーの回数を減らすことに貢献し、日本では災害時に役立っている。さらに処方に水を使用しない「ピンチ オブ カラー(PINCH OF COLOR)」は(3)の製造機械を水ではなく油で洗浄することで、節水を心掛けている。
そのほかプロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE)は2018年に水資源の保護を目的としたブランド「ウオーターレス(WATERLESS)」を立ち上げ、(1)(2)(3)全てを目指したヘアケア製品を開発。2020年2月には「ニベア(NIVEA)」などを手掛ける独バイヤスドルフ(BEISDORF)も売り上げの1%を水資源の保護活動に寄付する「ストップ ザ ウォーター ワイル ユージング ミー!(STOP THE WATER WHILE USING ME!)」を買収し、近年は大手も続々と参入している。
日本でも「イヴ・ロシェ」に加え、ニュージーランド発の「エティーク(ETHIQUE)」や「ロクシタン(L'OCCITANE)」などがシャンプーバーなどを販売し、少しずつウオーターレスビューティが広まっている。今回は、創業当時から固形のアイテムを多く手掛ける、ウオーターレスビューティの先駆者とも言うべき「ラッシュ(LUSH)」に話を聞いた。
「ラッシュ」では固形のアイテムを“ネイキッドアイテム”と呼び、製品を“裸”のまま販売。シャンプーやボディーローション、マウスウオッシュなど、これまで液体が当たり前だったものを固形にすることで水の使用量だけでなく、包装に用いる資源を削減している。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。