ユニリーバ(UNILEVER)は6月14日、米国のD2Cスキンケアブランド「ポーラチョイス(PAULA'S CHOICE)」を買収した。買収額は明らかになっていないが、業界筋によればその額は20億ドル(約2180億円)程度だと見られている。
「ポーラチョイス」は、化粧品の販売員だったポーラ・ビガウン(Paula Begoun)が1995年に設立。同氏が85年に出版した、化粧品の成分に関する問題点を指摘した著書「ブルーアイシャドー・シュッド・ビー・イリーガル(原題:Blue Eyeshadow Should be Illegal、“青いアイシャドーは法で禁じるべき”)」が大きな話題となり、読者から化粧品の安全性についての質問が多数寄せられたことから、安全だと科学的に証明された低刺激性の成分のみを使用したスキンケア製品を作るべく「ポーラチョイス」を立ち上げたという。同ブランドは製品開発の際に参照した学術論文の一覧を掲載しているほか、製品に含まれている全成分を公開している。
販売は主に自社ECで行っているが、米百貨店ノードストローム(NORDSTROM)とビューティ専門店チェーンのセフォラ(SEPHORA)でも取り扱われている。海外でスキンケア需要が高まる中、若い世代の“美容ヲタク”からの評価が高いブランドで、SNSでもよく拡散されている。日本でも楽天やアマゾンなどで販売されている。
買収後、同ブランドはユニリーバ プレステージ部門に属することとなる。サニー・ジェイン(Sunny Jain)=ユニリーバ ビューティ&パーソナルケア プレジデントは、「急成長している高級スキンケア分野のブランドを増やすことは優先事項の一つだったので、『ポーラチョイス』を迎えることができて大変うれしく思っている」と語った。
ユニリーバは近年プレステージのスキンケアに力を入れており、ここ数年で「タッチャ(TATCHA)」「ミュラド(MURAD)」「ダーマロジカ(DERMALOGICA)」「ケイト サマビル(KATE SOMERVILLE)」「レン(REN)」を買収している。