前回に続き、「セレクトショップ(メンズ)」の2021-22年秋冬展を見て回っている。そこで気付いた一つの特徴、“ブーツの復権”についてお話したい。
ビューティ&ユース ユナイテッドアローズは、展示会場に入ってすぐのスペースに米国のブーツカンパニー「ティンバーランド(TIMBERLAND)」や「ダナー(DANNER)」の編み上げブーツをディスプレーし、ユナイテッドアローズも内山省治メンズファッションディレクターらによる(長いもので10年以上になる)フランス靴「パラブーツ(PARABOOT)」、英国靴「クロケットアンドジョーンズ(CROCKETT & JONES)「チャーチ(CHURCH'S)」などへの別注チャッカブーツやサイドゴアブーツを並べていた。ベイクルーズの展示会ではエディフィスやジャーナル スタンダード、その派生業態である417 エディフィスやジャーナル スタンダード レリュームなどで「パラブーツ」、米国のブーツカンパニー「レッド・ウィング(RED WING)」が目立った。
いずれの業態も歴史ある王道ブランドが元気で、時系列的には1.バブル的ブームだったスニーカーが何シーズンか前に頭打ち→2.ビッグシルエットブームが若年層のみならずオトナ世代にも定着→3.足元にもボリューム感のある&少し目先を変えた提案がしたい→4.オーセンティックブーツの登板!という流れかと。
これらのブーツの多くにはグッドイヤーウェルト製法などが用いられ、履くほどに中物(コルク)が自分の足の形に沈み込んでフィット感が高まり、またウェルトを介してアッパーと直接縫製されないアウトソールは交換が可能で、半永久的に着用できることもサステナブルな時勢に即している。
スニーカーの陰で、長い間陽の目を浴びてこなかったブーツ。“はじめは硬くて履きづらくとも、また多少値は張ろうとも、選んで長く履く”が本格化するかどうかは、われわれ消費者次第でもある。