※この記事は2021年07月28日に配信した、メールマガジン「エディターズレター（Editors' Letter）」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
ジェンダー・プロナウンと売り方のハナシ
「ヴェトモン」の新ブランドがTシャツに明記したというジェンダー・プロナウン（LOOK36などをチェックしてください）、皆さんはご存知ですか？例えば「She／Her」は、「ワタシを語るときは、『彼女』と称してくださいね」というメッセージ。LOOK36のように「They／Them」と語っている人は、「ワタシは、典型的な男性・女性に当てはまらないかも」というメッセージを発信しています。これは、自分が心地よく思う呼ばれ方を他者に発信するのと同時に、性自認がカミングアウトしやすいムードの醸成に一役買っていると考えられています。ちなみに、下のリンク2本目にある記事を作った2年生記者は、いきなりこのジェンダー・プロナウンをプロフィール欄の最初に記載した原稿を私に持ってきました。もう、そういう時代なのです（笑）。
＞「ヴェトモン」の新ブランドが始動 ジェンダーを記したTシャツなどを発表
さぁ、こうなるといよいよ「小売店は、このTシャツを売るとき、どうするのか？」という問題が顕在化します。例えば、XSの「He／Him」Tシャツは、どうしますか？サイズで言えば、ウィメンズかも？でもジェンダー・プロナウンではメンズです。このTシャツを買う人は、きっとMen’sのセクションで買いたい人が多いでしょうね。「They／Them」に至っては、どうします？そんなことを考えながら「ヴェトモン」のECサイト（どうやらSSENSEのプラットフォームを使っているようです）をチェックすると、ジェンダーによるソートは「MEN／UNISEX／WOMEN」の3つ。で、商品の8割弱はUNUSEXでした。「They／Them」Tシャツは、ここに格納されるのかな（笑）？
ブランド側の提案が多様になってきたのに対し、売る側の対応はまだまだ旧態依然なのかもしれません。正直リアル店舗には売り場面積というハードルがありますが（にしても、ウィメンズのセクションで商品を見ている男性に対して申し訳なさそうに『コチラはウィメンズでして……』って言うのは、もうやめたほうが良いと思います。その男性に対して、『そんな声がけで申し訳ない』と思ってしまうワタシがいます）、ECはもっと自由で良いですよね？なのに、最初のソートで商品の半数（メンズを選べば6、7割）をふるいにかけなければならないという作りだけのECサイトがなんと多いことか⁉︎ジェンダーにまつわるソートは、選択制であっても良いと思うのです。
そんなに遠くない将来、ジェンダーにまつわる線引きは「イエベ・ブルベ」みたいに、ある人には「便利」、でも別のある人には「だからつまらない」と思われちゃう区分になるのかな？卓球や柔道、トライアスロンで導入された男女混合種目を見ながら、そんなことを考えます。
私が夏休みをいただくため、次回の配信は8月4日になります。引き続き、ご愛顧くださいませ。
FROM OUR INDUSTRY：ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターです。「WWDJAPAN Digital」が配信する記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。
エディターズレターとは？
「WWDJAPAN」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在8種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。
