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“レインボー資本主義”に陥ってない? ビジネス視点のLGBTQ+フレンドリーを考える

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 毎年6月はプライド月間として、LGBTQ+(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどの性的少数者)コミュニティーを祝うパレードや、権利啓発のイベントが開催される。ファッション&ビューティ業界は、LGBTQ+コミュニティーを象徴するレインボーモチーフのアイテムを発売し、その利益を支援に充てるなどして、よりインクルーシブ(包括的)な社会・環境を目指している。一方で、6月にだけ販売されるレインボーコレクションや一時的と受け取られかねない支援の数々に、プライド月間をビジネスとして利用しているとの否定的な見解もある。ビジネスだけでは不十分とされ社会責任や目的も問われる今、プライド月間に企業として加わることの意味とは。どうしたらより本質的なメッセージを届けることができるのか、またどうしたら外に向けたものだけでなく、社内にもいる当事者を思いやれるのかを考える。

 プライド月間はそもそもLGBTQ+当事者らが50年以上にわたって、生まれながらの権利や保護を求めて抗議を続けた歴史を持つもの。そこには幾重もの社会の構造的差別と戦ってきた人たちの存在がある。抗議運動が大きく広がったきっかけとなった1969年6月28日のストーンウォールの反乱(ニューヨーク市の性的マイノリティーが集まるバー、ストーンウォール・インに踏み込み捜査を行った警察官と店内の客が衝突。マイノリティーをターゲットにした捜査の方法や日常的な差別が起因となった)を起源とし、毎年6月は人々が集まってお互いをたたえ合い、今ある社会課題などについて対話を促す月へと発展した。近年は多くの企業がパレードやマーチをスポンサードし、レインボーに彩られたアイテムを目にする機会も増えた。プライド月間の背景や歴史への敬意を欠いたまま行われることもある商業化の流れは、“レインボー・キャピタリズム(レインボー資本主義)”と呼ばれる。プライド月間やLGBTQ+コミュニティーの話題性への便乗や、それらを利用したブランディングで利益を得ることなどに対して疑問の声が上がっている。

レインボーは誰のため?

 多くのブランドや人々はコミュニティーの保護や権利向上のために働きかけ、プライド月間を盛り上げるための関わり方を模索している。しかし、キャンペーンの規模やレインボーアイテムの販売量など、商業的成果を通じてプライド月間の成否を捉える向きも指摘されている。社会へのアピールと、ジェンダーやセクシュアリティによって昇進の機会から遠ざけられ、低い賃金を設定され、家を持ちづらく、失業の危機に晒され、日常的に暴力を受けるといった差別との戦いへの貢献は、分けて考えることが重要だ。

 ライターや脚本家、アクティビストとしても活躍するレオ・エレーラ(Leo Herrera)は、「プライド月間の本来の目的は、クィア解放運動の目的を確かめ、これまでの歩みをたたえること。近年の盛り上がりを見ても、当初の目的から大きくそれてはいない。でも初めてパレードが開催されたときから、“どれほど受け入れてもらえるか”に軸を置くやり方に対する警戒心は常にあった。例えば結婚や兵役にまつわる分野では前進がある一方、QPOC(Queer People of Color:有色人種のクィアの人々)やトランスジェンダー、年寄り、障害のある人は取り残されている」と語る。

 ニューヨークではプライド月間が企業のお祭りとなり商業化が進んでいることに対抗して従来のプライド・マーチにかぶせる形で、クィア・リベレーション・マーチが開催されている。主催者団体のリクレイム・プライド・コーリション(Reclaim Pride Coalition)は5万人の参加者を集めた2019年の開始以来、「企業のスポンサーやレインボーに覆われたアイテムは受け取らない。警察も政治家も関与しない」という姿勢を貫く。「プライドをLGBTQIA2s+(LGBTQ+に、さまざまな発達状態の性にまつわる体の特徴を持つインターセックスや他者に性的欲求を抱かないアセクシュアル、複数の性自認を持つトゥー・スピリットの人々を加えた表現)コミュニティーの元に取り戻す」ことを目的に抗議を続ける。

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