大手セレクトショップのユナイテッドアローズ、ベイクルーズ、ビームスは8月4、5日に、各社の販売員に向けた3社合同座談会の第3回を開催した。2019年に開始した同取り組みは、販売員が自分たちの仕事の価値を考え直す機会を設けることで、業界における販売員の価値を向上させようというもの。今回は初のオンライン開催となり、地方店舗を含む各社から、両日合わせて約180人の販売員が参加。登壇した各社の人気ディレクターらの話に耳を傾けた。
第3回のテーマは、「ファッションの力に気づく・感じる・語る」。司会進行を務めた五十嵐保行ユナイテッドアローズ営業統括本部販売支援部人材開発課は、テーマについて「コロナ禍でファッションがネガティブに語られることも多く、販売員にパワーを与えたいというところから始まった。そのためには、それぞれがファッションを好きな気持ちの原点に立ち返ること、その気持ちをお客さまに伝えることが1番だと考えた」と話す。
パネルディスカッションでは、事務局がファッションのパワーを知り、周りに提供している人物として選んだ登壇者が、参加者から寄せられた質問に回答した。4日は金子恵治「レショップ」コンセプター、西口修平「ビームスF」ディレクション兼バイヤー、松本真哉ユナイテッドアローズ執行役員チーフ クリエイティブ・オフィサー(COC)が登壇。続く5日は、伊野宏美「ビームス ボーイ(BEAMS BOY)」ディレクター、外山絵里「アパルトモン(L'APPARTEMENT)」ディレクター、吉田恵理子「ロク」ディレクターが登壇した。
「今後販売員に求められることは?」という質問に対して、金子「レショップ」コンセプターは「スタッフそれぞれがブランドを理解し、オリジナリティを持って解釈することが大事になってくる。将来的には、『レショップ』を暖簾分けし、スタッフの個性で、違った特徴を持つ店を作りたい」とコメント。ユナイテッドアローズの松本COCも「業界全体が個の時代に向かっている。お客さまに、君から買いたいと思わせるオリジナリティを磨いてほしい」と加えた。そのためのツールとして、SNSの活用方法についても話し合われた。自身も積極的にスタイルを発信している西口「ビームスF」バイヤーは「売り場の一人一人が日々何を考えていて、洋服に対してどんな思いを持っているのかを恐れずに発信してほしい」とエールを送った。
五十嵐ユナイテッドアローズ営業統括本部販売支援部人材開発課は「販売員の待遇や社会的な地位向上など具体的な成果に向けてはまだ時間がかかる。しかしそのためには、このような回を継続していくことが何よりも大事だ」と言い、今後は3社の連携を生かしてEC担当や商品開発担当など、分野・規模共に拡大していくという。