オールシーズンで使えるジレ(ベスト)の人気がじわじわと高まっています。ロング丈やアウター兼用などタイプはさまざまですが、人気の理由は、1枚羽織るだけで様になるところ。温度調節しやすいのも、スリーブレスなウエアの長所。残暑時期は、Tシャツの上からサラリと羽織れば、きちんとした印象も演出できます。秋冬にはコートより軽やかに着こなせるので、ほぼ通年で着回しが利くアイテムです。
たとえば、「ウジョー(UJOH)」の2021-22年秋冬コレクションでは、トレンチコートの袖なしバージョンを披露しました。全身をおおわないロングジレは、レイヤードにうってつけ。チェック柄のジャケットが袖からしっかりのぞき、深みのある表情に。秋以降、本格的に出番が増えそうなジレのおすすめルックをまとめてみました。
襟付きのロングジレでエレガントなムードを演出
シーズンレスな装いを提案したのは、「ハーヴェル スタジオ(HAVEL STUDIO)」。黒のノースリーブの上から襟付きのロングジレを羽織って、縦長のイメージを強調しています。ジレの襟がきちんした印象も演出。パンプスと合わせた装いは、ちょっとしたオフィシャルなシーンにも対応できそう。ジレより着丈の長いウエアに重ねるのが、レイヤードを際立たせるコツです。
2枚目の写真の「ミドラ(MIDDLA)」は、黒の長袖トップスとチェック柄のスカートというベーシックなコーデに、キルティングのジレを重ねて、意外性をプラス。ボトムスの裾をチラ見せできるぐらいの着丈を選べば、すっきりとした印象が強まります。袖がない分、インナーの黒い袖が全体を引き締め、コントラストも生きています。異なる素材のレイヤードでまとめることで、味わい深いルックに仕上がっています。
ジャケット丈ですっきり ハンサムなレイヤードルックに
腰丈のジャケット風ジレも、シーズンレスに着回せるアイテムです。「フォトコピュー(PHOTOCOPIEU)」は、デニムジャケットの上から黒のジレをオン。マニッシュなパンツと合わせて、ジェンダーレスにまとめています。これまで、ジレといえばジャケットの中に着込むのが一般的でしたが、近年はアウターの上に重ねるレイヤードが盛り上がっています。おすすめは、ジャケットの襟がのぞくノーカラーのジレです。
メンズのベストはボタンを留めるのがマナーとされますが、ウィメンズでは前を開けることで、着こなしのバリエーションが広がります。2枚目の「スタンブリー(STUMBLY)」は、淡いブルーのジレが涼やかな印象。黒いチュニックの上から重ねて、クールに着こなしています。前を開けて、ブラックを多めに露出している点もポイントです。暑いうちは前を開け、秋以降は閉じて着るなど使い分けすることで見え方も変えられるので、通年使いには効果的です。
秋冬素材のジレで、ふんわり立体感をプラス
ウールやニット素材が多かったジレに、新たな素材が相次いで仲間入りしています。秋冬に重宝する温かい素材のジレなら、ロングシーズンで着回せます。「ヴェニット(VENIT)」は、もふもふのボア素材でロングジレを提案しました。袖がないので着ぶくれも避けられます。同系色のスエットパーカの上から重ねたことで、全体に立体感がプラスされています。
菱形状の縫い目が印象的なキルティングは、秋冬によく見られる素材です。最近では、裏地のライナーをあえて表に出したような使い方も広がってきました。2枚目の「タクター(TACTOR)」は、リラクシングなトップス&パンツの上から、キルティングのジレを羽織って、伸びやかな装いに。前を全開にして、ふわっと広がるシルエットを印象づけています。ライナー風のたたずまいが、アクティブなムードも漂わせています。
袖がない分、腕周りがすっきり見えるのに加え、全体がすらりと映るので、ロング丈のジレは上手に着こなしたいアイテムです。正統派ジレなら、カジュアルなTシャツやニットトップスと合わせても、落ち着いたムードを添えてくれます。ジャケットやアウターの上から重ねるスタイリングも、手持ちウエアの新たな表情を引き出せます。コーディネートの相性を選ばないうえ、ロングシーズンにわたって使えるスグレモノなだけに、今から手なずけておくのが賢い秋支度です。