エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES以下、ELC)の2021年6月通期決算は、売上高が前期比13.4%増の162億1500万ドル(約1兆7674億円)、営業利益は約4倍(同332.0%増)の26億1800万ドル(約2853億円)、純利益も約4倍(同313.0%増)の28億7500万ドル(約3133億円)の増収増益だった。
19年との比較でも、売上高が9.1%増、営業利益は同13.1%増、純利益は60.2%増とコロナ禍前を上回る結果となった。
地域別の売上高では、南北アメリカが前年と比べてほぼ横ばい(同0.08%増)の37億9700万ドル(約4138億円)、欧州・中東・アフリカが同10.9%増の69億4600万ドル(約7571億円)、アジア太平洋地域が同29.4%増の54億8600万ドル(約5979億円)だった。中でも中国本土は、引き続きスキンケアが好調なこととメイクアップが回復基調にあることから2ケタ成長となり、業績に大きく貢献した。
カテゴリー別では、「エスティ ローダー」「ドゥ・ラ・メール(DE LA MER)」「クリニーク(CLINIQUE)」が2ケタ成長を見せたスキンケアが同28.4%増の94億8400万ドル(約1兆337億円)だった。21年2月に株式の持ち分を76%まで増やしたカナダ発の化粧品メーカー、デシエム(DECIEM)と、19年に傘下に収めた「ドクタージャルト(DR. JART+)」を擁するハブ&ビー(HAVE & BE)は、スキンケア事業部の成長率に約4%ポイント貢献した。
マスクを着用する機会が増えたことで需要が減少したメイクアップは、「クリニーク(CLINIQUE)」や「M・A・C」が人気だったものの、同12.3%減の42億300万ドル(約4581億円)と減収だった。一方で、ワクチン接種が進んだ下半期には、ファンデーションや口紅の売り上げに伸びが見えたという。
フレグランスは「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」と「トム フォード(TOM FORD)」がけん引し、同23.2%増の19億2600万ドル(約2099億円)だった。ヘアケアは「アヴェダ(AVEDA)」が引き続き人気を博し、同10.8%増の5億7100万ドル(約622億円)だった。
ファブリツィオ・フリーダ(Fabrizio Freda)ELC社長兼最高経営責任者は、「売上高が初めて160億ドル(約1兆7440億円)を突破するなど、素晴らしい業績を上げることができて大変うれしく思っている。また、売上高と純利益のいずれも19年の実績を上回った。成長のエンジンは、スキンケア、高級フレグランス、アジア太平洋地域、そしてECだ」と語った。同氏によれば、ECは19年と比べて約2倍の売り上げとなっており、北米では売上高の40%をECが占めているという。
同氏はまた、22年度の展望として、コロナ禍が落ち着くにつれてメイクアップとヘアケアがグローバルに回復すると予想。21年7~9月期(第1四半期)には、全体で17~19%の成長率を見込んでいると述べた。