毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2021年9月6日号からの抜粋です)
林:今回の特集は、サブスクのニュースが増えているというのが出発点。服のレンタルや化粧品の詰め合わせボックスはほとんどが2015年以降のスタートだが、資生堂、AOKI、ZOZO、ダイソン(DYSON)など撤退したところも少なくない。成功しているところはどんな企業努力をしているのかを解き明かしたいと思った。
本橋:僕はサマリーポケットを利用したり、親が不要だと言っていたブランドバッグをラクサスで貸し出して運用していますが、コロナ下で自宅で過ごす時間が増えて、部屋を整理したいと思ったのがきっかけでした。でも、僕が普段取材しているアパレル企業はほとんどサブスクを展開していません。その理由に興味を持ちました。
林:会員数がある程度増えてブレイクスルーするまでに時間がかかる。そこにたどり着ければもうかるビジネスだが、そこまで赤字続きに耐えられないというところが多いのだろうね。
本橋:そうですね。「このサービスで社会を変える」という強い意志がないとできないことだと感じました。
林:肌診断して毎月アップデートしたスキンケアを届けてくれるというような、リアルな店では味わえない体験を提供できているところが成功している。常に満足度を高めていかないといけないから、難易度が高いね。「サブスク」って定義が曖昧だけれど、同じものを定期的に届けるのではなく、常にアップデートするものだと思った。
本橋:利用者を集めてデータを蓄積し、サービスを改善するという循環がカギになりますね。
林:面白かったのは、ラクサス(LAXUS)の「定額料金になると価格の概念から解放される人が増えていく」という話。最初は価格の高いものを選びがちだけど、徐々に「本当にかわいい」と思うものを借りるようになるというのは、興味深かった。
本橋:確かに。僕も高単価のコートはどうしても汎用性の高い無難なものを買ってしまいますが、本当はもっと色や柄を楽しみたい。コートに特化したサブスクがあったら利用したいです!
林:モノのサブスクはまだまだ利用者が少ない。これからの市場だね。