ファッション

「リチャードソン」が新刊「A10」を発表 性の価値観や歴史を考察

 ニューヨーク発のインディペンデント・マガジン「リチャードソン(Richardson)」は11日、10号目となる「A10:ザ・モラリティー・イシュー(A10 The Morality Issue)」を発行する。“モラリティー(道徳)”を軸にアートやカルチャー、学術的視点を交えて、「性」に関する倫理的な価値観や複雑さの歴史を振り返る。前作から3年ぶりとなる新刊を記念して、ブランド「フッド・バイ・エアー(HOOD BY AIR)」でも物議を醸したデザイナー、シェーン・オリバー(Shayne Oliver)による「アノニマスクラブ(ANONYMOUS CLUB)」とのコラボレーションによる限定カプセルコレクションも発売する。

 表紙を飾ったのは、トランスジェンダー女性でモデルを務めるドミニク・シルバー(Dominique Silver)。ポルノスターのキャリアも持つ彼女をグレン・ルッチフォード(Glen Luchford)が取り下ろした。誌面ではシェーン・オリバーによるロングインタビューの中で、トランスジェンダーかつセックスワーカーとして日々感じることを話す。トランス・アイデンティティの進化やセックスワークに対するスティグマ(恥や不名誉などのネガティブなイメージ)などについて触れている。

 ほかにも現代アーティストのポール・マッカーシー(Paul McCarthy)、フランシス・スターク(Frances Stark)、ボリス・ルーリー(Boris Lurie)らの初公開作品や、エッセイを収めた。セックス・ポジティブ・フェミニズム(セックスをポジティブに捉える運動)を掲げるアーティスト、ペニー・スリンガー(Penny Slinger)の初期作品や、精神分析学を専門とするジェイミソン・ウェブスター(Jamieson Webster)によるエッセイも掲載した。同エッセイでは、1990年代のアメリカの大学の社交クラブの入会儀式(ヘイジング: Hazing)に着目し、男性のセクシュアリティと強い結びつきのある「トキシック・マスキュリニティ(有害な男らしさ)」を批評する。

 2020年に再始動した「フッド・バイ・エアー」のプロジェクト、「アノニマスクラブ」とのコラボカプセルコレクションでは、Tシャツ、クロップドトップス、長袖Tシャツ、フーディーをそろえる。グラフィックは表紙の写真に加えて、マガジンのコンテンツから抜粋した文言、両ブランドのロゴをあしらった。価格は、7150〜2万9700円。「リチャードソン」の公式オンラインストアや、東京・原宿の「リチャードソン・東京」店、セレクトショップの「ボンジュール・レコード(Bonjour Records)」で販売する。

 「リチャードソン」マガジンは、アンドリュー・リチャードソン(Andrew Richardson)が1998年に創刊。2018年に発行した20周年記念号では、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)を表紙に起用。「セックス」というレンズを通して、写真やアート、社会現象、カウンターカルチャーを表現し続けている。

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