米国では、ビューティ市場を代表する化粧品小売店のウルタ(ULTA)と、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON 以下、LVMH)傘下の同じく化粧品小売店セフォラ(SEPHORA)の競争が激化している。セフォラはマス向け百貨店のコールズ(KOHL’S)に、ウルタは同じくマス向けの大型スーパー、ターゲット(TARGET)にそれぞれショップインショップの出店を開始した。両社共に店舗網が一気に広がっただけでなく、プレステージブランドがスーパーに並ぶことになり、米国では大きなニュースとして注目されている。
セフォラは8月にニュージャージー州のコールズにショップインショップの1号店を出店し、2023 年までに850店舗の出店を計画している。これまでニューヨークやロサンゼルスなど大型都市や観光都市に店舗網を広げてきたセフォラにとって、コールズとのパートナーシップは郊外の消費者へのアプローチを可能にする。一方これまで化粧品を強みとせず、ビューティに力を入れたいコールズにとっても、メリットは大きい。実はセフォラは06年にも百貨店のJCペニー(JCPENNEY)と同様のパートナーシップを締結したが、後者の破産により今回コールズを選んだ経緯がある。
セフォラは圧倒的なブランド・製品の取扱数だけでなく、国内外のプレステージブランドを強みとしてきた。またかつては、同じLVMH傘下の「マーク ジェイコブス ビューティ(MARC JACOBS BEAUTY)」「KVD ビューティ(KVD BEAUTY)」「フェンティ ビューティ バイ リアーナ(FENTY BEAUTY BY RIHANNA)」などを独占で扱い多くの消費者を引き寄せた。アプリの開発をはじめとするデジタル施策にも積極的で、美容感度の高い消費者を多く取り込んできた。さらに近年はKビューティやクリーンビューティといったトレンドも積極的に取り入れ、化粧品専門店を代表するポジションを確立してきた。
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