阪急阪神百貨店は22日、建設を進めてきた阪神梅田本店2期棟を10月8日に先行開業すると発表した。18年4月に開業した1期棟と合わせて、来年春には地下2階から地上9階まで売り場5万3000平方メートルが全面開業する。11フロア中4フロアを食関連で構成するなど「食の阪神」を前面に出す。初年度の売上高の計画は730億円。食関連は売り場面積の約3割、売上高の約6割になる見通しだ。
食関連のフロアは地下2階、地下1階、1階、9階で、建て替え前に比べて面積は38%広くなる。天井高6メートルの1階はシンボルフロアと位置付けて、食のイベントスペース「食祭テラス」(330平方メートル)を設け、和菓子、お好み焼き、唐揚げ、ワイン、ジビエなどの催事を開く。9階のフードホール「阪神大食堂」では、1850平方メートルの広い空間で注目のフレンチや創作中華など8店舗の名店の味が楽しめる。
同社が推進するOMO(オンラインとオフラインの融合)に全館で取り組む。ネット通販とのシームレス化だけでなく、店舗スタッフによるSNSの発信を通じてファンコミュニティーを作る。「ナビゲーター」と名付けられた100人の店舗スタッフが個人の名前で、食やファッション、ビューティ、アートなどの売り場や商品の情報を発信する。数年前から稼働しており、すでにコーヒーやワインなどの分野で多くのフォロワーを獲得し、顧客との相互コミュニケーションが進んでいるという。
阪急阪神百貨店は、隣接する阪急うめだ本店を消費者の憧れやハレの日に応える百貨店としてファッションやラグジュアリーブランドで競争力を発揮している。もう一つの旗艦店である阪神梅田本店は消費者の日常に寄り添う百貨店として食関連で差別化する。22日に会見した山口俊比古社長は「店づくりの基本的な考えはコロナ前と変わっていない。コロナを契機にした日常生活を大切するマインドは、阪神のコンセプトと合致しており、われわれは確信を強めている」と話した。売上高の計画についてはコロナの影響を鑑みて、手がたく見積った。
10月8日に開業するのは全体の9割。残りの1割は、12月にインテリアの一部、婦人服の一部、「無印良品」など、来年春に地下1階のデパ地下「阪神食品館」が順次オープンして全面開業となる。