毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2021年9月27日号からの抜粋です)
北坂:2年前に「WWDビューティ」で特集した時以上に、美容医療への若年層の関心が高まっていると感じました。コロナ禍で肌がマスク荒れした人もいれば、マスクで顔が隠れる今のうちに施術したいというニーズもあり、最近は駅の広告をジャックしたり、空きテナントに即入居したりのケースも目につきます。
村上:本当に勢いを感じるね。「美容医療」というと「整形」を連想してネガティブなイメージを抱く人もいたけれど、捉え方がそもそも違ってきている。先生たちがユーチューバーとして丁寧に解説する場面が増えているので、きちんと知識を持ったお客さんが育っている。“透明性”のある情報を発信していくことが価値観を変えていったり、新たな市場を生んでいるなと思った。
北坂:はい。失敗した時のリスクも大きいですし、かつては「怖い」というイメージが先行していましたが、それは情報が少な過ぎたからだなと、私も思いました。今回「どこから情報を得ますか」と調査したら、SNSが大半。皆施術後の様子などを積極的にアップしていますし、専用アプリも出ています。情報が多く出ることで「怖くないのかも」とハードルが下がっているように感じました。
村上:取材では何が一番印象的だった?
北坂:昔は「こういう顔になりたい」という流行りがありましたが、今は全然なくて、特に若年層は自分という素材を生かして、自己肯定感を高めようとしています。一方、脱毛は最近、介護生活を見越してミドル層のデリケートゾーンケアが増えているようで、消費者層・目的の双方が広がっているのも興味深かったです。
村上:多様な人の、多彩なニーズに応えられるようになっているところが市場の成長につながっているよね。年配の方がハイブリーチしてヘアカラーを入れたことですごくポジティブなエネルギーを得たように、“マイナスをゼロ”にするのでなく、“ゼロをプラスにする”アプローチは、より多くの人に受け入れられていくと思う。
北坂:はい。自己肯定感を高める美容医療が増えていけばいいなと思いました。今回の調査では、意外と男性からの回答が多くて。今後注目したいです。