ロマンチックなフリルが“脱・ニューノーマル”の装いを彩るディテールとして脚光を浴びています。人気の背景にあるのは、日常に控えめなドラマを呼び込みたいという、変化を求める気持ち。波打つフリルや、ひだの大きいラッフルを取り入れれば、着映えに適度な愛嬌や動きを盛り込めます。
「ケイタ マルヤマ(KEITA MARUYAMA)」は、フリル付きの黒のシアードレスで華やさを演出しました。懐かしい真知子巻きのヘッドスカーフで昭和のレトロ感を注入。クラシックなフリル使いも貴婦人なムードを添えています。今回は、フリルを魅力的に取り入れた日本ブランドのコレクションルックから、甘すぎない“大人フリル”の着こなしをお届けします。
甘さ控えめで大人仕様のフリルワンピース
大人がフリルを着こなすにあたっては、少女っぽくならず、甘さや幼さを遠ざけるまとい方がポイントになってきます。シックな色合いを選ぶのも、フリルを上品に見せる方法です。
「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)」は、全体をブラウン調でまとめ、秋らしいたたずまいに仕上げました。落ち着いた大人のムードが備わっているので、たっぷりのフリルやラッフルもエレガントに見えます。色や柄のおかげで、ヴィンテージ感も漂っています。
スイートな印象を封じ込めるうえでは、黒主体のシックなカラートーンも効果的です。タイトなシルエットも際立つので、“フリル×黒”のコンビネーションは使いでがあります。2枚目の写真は、「マラミュート(MALAMUTE)」。黒のニットウエアでほっそりしたシルエットを描き出しました。細かいフリルをたくさん配して、まるで人魚姫のような雰囲気。縦長のフォルムが、フリルの動きを引き立てる効果も発揮しています。
レディー感をまとえるティアードフリルのスカート
ボトムスにフリルを迎えるなら、段々が重なるティアードスカートがおすすめです。フリルがなじみやすいのは、ティアード自体に装飾性が強いから。フリルよりもひだが大きいラッフルとの相性も上々です。
「ノントーキョー(NON TOKYO)」のスカートは、3段のティアードがボリュームの美を印象づけています。それぞれの段にたっぷりとラッフルがあしらわれていて、味わい深い陰影を生みました。ロマンチックな風情を醸し出すスカートだからこそ、甘さに引きずられないトップス選びが肝心。あえてストリートテイストのTシャツを合わせることで、“ずらし”のテイストミックスに仕上げています。
フリルと同じく、布の表情が豊かなギャザーやシャーリングと組み合わせれば、叙情的なムードをまとうことができます。全体にレディーライクな雰囲気を濃くしたい場合に使えるスタイリングです。2枚目の写真「ミ ヴァコンス(MES VACANCES)」は、全体を白系でまとめたワントーンの装い。2段のティアードスカートに、ゆるっとしたフォルムの、エフォートレスなプルオーバーブラウスを合わせています。スカートにも大小のフリルを配し、全体を貴婦人のようなクラシックなたたずまいに導きました。
細見えもかなう、ハンサム&ガーリーなフリルパンツ
これまでフリルの“定位置”といえばブラウスやスカートなどのアイテムで、マニッシュなイメージのあるパンツとは縁遠い関係でした。でも、近ごろはジェンダーレスなムードの流れもあってか、パンツにもフリルを施す試みが広がっています。パンツの印象を揺さぶる効果が期待できる点でも試してみたくなる新顔のボトムスです。
「ルプコ(RPKO)」のパンツは裾にぐるりとフリルが施され、パンツの裾が弾むようなデザインに仕上げました。ブラウスの大襟を縁取るフリルとも響き合っています。明るい色とつやめいた風合いで、ポジティブとロマンチックが同居する着こなしに整いました。
大ぶりのフリルは装いに躍動感を加えてくれます。ボリュームがある分、細さを引き出す効果も。だからこそ、パンツに組み込むと、レッグラインがすっきり細く映ります。2枚目の写真「マリオン ヴィンテージ(MALION VINTAGE)」は、ブラックのワントーンでスタイリッシュなコーディネートにまとめています。スレンダーに見えるのは、5段フリルのインパクトが強いから。フリルが目を引く分、実際以上に脚がシャープに映る仕掛けです。
フリルはきれいな立体感を際立たせてくれるので、おしゃれのキーディテールとして生かしがいがあります。華やかな量感がボディラインをすっきり見せるメリットまで期待できるおまけ付き。丁寧にギャザーが施された大人仕様のフリルは、今シーズンの注目トレンドである“適度にロマンチック”な演出にも役立ちそう。ニューノーマルな生活が続き、日常にも少しドラマが欲しくなる中、フリルを使って、着こなしにちょっとだけ波を立ててみませんか。