マッシュスタイルラボはメンズの新ブランド「アウール(AOURE)」を2022年春夏にスタートする。クリエイティブディレクターに元「メンズクラブ(MEN’S CLUB)」編集長の戸賀敬城氏、外部デザイナーとして「ジュンハシモト(JUN HASHIMOTO)」や「ダブルジェーケー(WJK)」を手掛ける橋本淳氏を招へい。同社は2020年9月にメンズ事業本部を立ち上げた。「アウール」の陣頭指揮を執るのは元ナノ・ユニバース(現TSI)社長の濱田博人専務取締役。30代中盤〜50代のビジネスマンをターゲットに、オンシーン・オフシーンで使えるイタリアンテイストのセットアップスタイルで訴求する。
ブランドコンセプトは“アフォーダブル(手の届きやすい価格)”+“シック”(上品、上質)。これまで主戦場のウィメンズ市場では、適正な価格とそれに見合った品質で提供する「フェアプライス」(近藤広幸社長)を武器に「スナイデル(SNIDEL)」「フレイ アイディー(FRAY ID)」などの人気ブランドを育ててきた。「アウール」もラグジュアリーブランドのような高級かつ高価格なものではなく、上質かつ日常的に使えるアイテムを手の届く価格で提案する。
初シーズンはアパレルが100型。バッグやシューズなどの雑貨類(20型)は海外の著名ブランドとの協業も決まっている。価格帯はジャケットで1万8000〜3万3000円、パンツが8000円〜1万8000円、シャツ1万〜1万4000円、ニット9000円〜1万8000円。最上位価格帯のジャケットは裏地を手作業で仕立てるなど本格的な仕様。濱田専務は「世にあるインポートブランドであればジャケットで20万円と、ある程度の収入があってもそうそう手は出せない。かといってセレクトショップのセカンドラインでは、若いビジネスマンと差をつけられない。“迷子”になっている大人の男性は大勢いる。その空白市場を狙っていく」と話す。
快適な着心地や家庭洗濯可能など、機能性にもこだわる。パッカブルのジャケット・パンツのセットアップはワッシャー加工を施し、上質な雰囲気を加えた。パンツは腰部がゴム入りながらシャツインも想定してギャザーを側面にあしらうなど、細かな配慮も施す。商品企画にあたっては、「世の中で売れそうなものを探すのではなく、『この値段でこのクオリティーだったら買いたいよね』『これなら上等なレストランに行っても恥ずかしくないよね』とリアルな目線を大事に、ゼロベースで考えていった」と戸賀クリエイティブ・ディレクター。「品質を担保しながら価格とのバランスを取るのはシビアな作業だったが、納得いくものを作ることができた」と振り返る。
同社のメンズ事業は「ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)」や「アンダーソン アンダーソン(UNDERSON UNDERSON)」のメンズライン、17年6月にM&Aした巴里屋の「ミスター・ジェントルマン(MISTERGENTLEMAN)」があるものの、立ち上げから手掛けるメンズ単体のブランドとしては初めて。初年度は百貨店や高感度ファッションビルに4〜5店舗の出店を計画し、当面は事業単体で売上高25億円を目指す。「消費者の価値観やライフスタイルは激変しており、今後は状況が変われば旅行やキャンプなど、ファッション以外の楽しみやお金の使い道も増えるだろう。つまりいい服を、いい価格で届けないとファッション消費が成り立たない時代になっていく」と近藤社長。「そういう意味で、男性にとってなくてはならないブランドに育てていきたいし、百貨店やファッションビルの売り場にも新しい選択肢を提供するという気概で(ブランドを)じっくりと育てていきたい」。