長谷川ミラは、自身のブランド「ジェイムジー(JAMESIE)」をリブランディングし、新たに「ジャム アパレル(JAM APPAREL)」として再始動する。10月21〜23日に開催されたアッシュ・ペー・フランス主催の合同展示会イベント「ルームス(rooms)」で初披露した。
「ジェイムジー」はオールジェンダーブランドとしてスタートし、プリントアイテムを中心に、ジェンダーや環境問題に対するメッセージを発信してきた。「ジャム アパレル」では、新たに“Fashion goes green”をテーマに掲げ、サステナブルな素材への取り組みを強化する。
2021年カプセルコレクションのアイテムは、オーガニックコットン100%のポロシャツ(税込7920円)や伊藤忠商事の再生ポリエステル素材「レニュー(RENU)」を使用したスエットトップ(同9790円)などのアパレル全9型と、タキヒヨーのアップサイクルプロジェクト“ザ・ニューデニムプロジェクト(THE NEW DENIM PROJECT)”から生まれたデニム生地を使用したバッグ(同4950円、同6600円)、豊島の「オーガビッツ(ORGABITS)」のオーガニックコットン糸100%のソックス(同3520円)などの雑貨類全3型をそろえる。販路は、11月11日に開設予定の公式ECサイトを中心に、ポップアップなどの期間限定ショップでの販売も企画する。
WWD:リブランディングの背景は?
長谷川ミラ(以下、長谷川):「ジェイムジー」は、性別にとらわれずにみんなが自由にファッションを楽しんでほしいという思いを込めて立ち上げ、LGBTQを支持するメッセージをプリントしたり、フェミニズムコミュニティーと一緒にイベントを企画したりもしていました。当時は、サステナブルな素材の選択肢が非常に限られていたこともあり、素材よりもプリントするメッセージ性を意識していました。一方で、サステナビリティについて勉強を深めると、Tシャツ1枚を製作するための水使用量は約2900リットルだと知り、ポジティブなことをしているつもりだった自分が環境に負担をかけているとショックを受けました。そこで2019年に販売を停止し、もう一度方向性を考え直すことにしました。サステナブルなブランドを実現するためには、もっと大きなチームが必要だと考えていたところ、友人で同い年のデザイナーの一法師拓門(デザイン会社コンセピオン代表)がデザインを担当してくれることになりました。加えて、彼が特別顧問を務める青山学院大学のファッションサークル、Aoyama Fashion Association(以下、AFA)の大学生たちからも協力を得られることになりました。
WWD:大学生を巻き込もうと思った理由は?
長谷川:SDGsは、一人で叫んでいても社会は変わらない。もっと同世代や下の世代とチームにならなければいけないと感じていたからです。AFAに所属する103人がマイクロインフルエンサーになり、その周辺にいる人たちへとどんどん変化の輪が広がっていくことを信じています。学生には一部のアイテムのデザインを考えてもらったり、撮影やイベント運営の手伝いをお願いしたりしています。
WWD:ブランド名に込めた思いは?
長谷川:本名の頭文字から取りました。父親からは“ジェイムジー”や“ジャム”のニックネームで呼ばれていて、子どものときから愛着のある名前です。拓門デザイナーのアイデアで、ロゴの“J”の部分にスラッシュを入れることで、“I AM”という文字が隠れています。みんながブランドから発信するメッセージを自分ごと化してとらえてほしい、自由に自分を表現してほしいという思いを込めました。
WWD:特にお気に入りのアイテムは?
長谷川:オーガニックコットン100%の国産生地を使用したポロシャツです。縫製や刺しゅうも日本国内で行いました。国内の技術職が減っている現状に貢献するために、メイドインジャパンにこだわりました。透明性が求められる時代ですし、今後は工場へのインタビューなどを通して、誰がどんな思いで作っているのかを発信します。
WWD:「ジャム アパレル」を通して伝えたいメッセージとは?
長谷川:ファッション産業は環境破壊や人権侵害など、多くのネガティブな問題を抱えています。しかし、人の心を一瞬でハッピーにできるのもファッションです。「ジャム アパレル」では、袖を通すだけでポジティブになれるようなきっかけを提案したい。AFAの学生たちとの取り組みや工場の生産背景など、このブランドが作られる工程自体に意味があり、その背景もきちんと伝えていきたいです。