コーセーの4〜9月決算は、日本や各国で新型コロナ感染拡大の影響が続いたものの、中国市場が好調だったことから売上高が前年同期比0.4%増の1229億円、営業利益が同121%増の87億円、還付消費税などが発生し経常利益が同142.3%増の97億円、純利益が同78.1%増の54億円となった。当期から決算月を3月から12月に変更し、9カ月(4〜12月)の変則決算となるため、前年同期比は前年の比較対象期間に組み替えて算出した。
事業部別では、化粧品事業が主力の「コスメデコルテ(DECORTE)」が中国と国内で売り上げが拡大。メイクブランド「アディクション(ADDICTION)」「ジルスチュアート(JILLSTUART)」や、「アルビオン(ALBION)」「雪肌精(SEKKISEI)」などの国内売り上げが伸びたことから、売上高は同4.1%増の998億円だった。コスメタリー事業はヘアケアブランドの「スティーブンノル ニューヨーク(STEPHEN KNOLL NEW YORK)」や「サンカット(SUNCUT)」「ソフティモ(SOFTYMO)」などが好調に推移したものの、ドラッグストア向けのヘアケアブランドが苦戦したことから売上高は同12.3%減の222億円。その他はホテルやゴルフ場向けのアメニティー製品やOEM生産などの受注減少が響き売上高が同30.8%減の8億6500万円だった。
地域別では日本が、専門店や百貨店とeコマースが昨年の反動で好調だったが、ドラッグストアなどそれ以外のチャネルが苦戦したため、売上高は同1.5%減の708億円だった。アジアは同1.4%増の364億円。中国の百貨店やeコマースが伸長したが、海南島を中心とした免税事業は振るわなかった。韓国も製品供給不足が影響し低調だった。北米は入店制限やテスター使用制限が解除され「タルト(TARTE)」の店頭販売が伸び、同7.9%増の140億円と伸長した。その他が同3.2%減の16億円だった。
小林一俊コーセー社長はアフターコロナを見据えた成長戦略として「1、中国やトラベルリテール市場の攻略 2、ブランド価値向上(パーソナルな顧客体験など) 3、事業ポートフォリオの強化 4、サステナビリティ戦略の推進、を重点的に取り組む。緊急事態宣言が明けた足元は爆発的なリベンジ消費にはなっていないものの、利益を確保できる水準まできている。グローバルな展開を含め着手できることは多い」と述べた。
21年12月期の連結業績予想は、日本の緊急事態宣言やまん延防止などの長期に渡ったことから消費の回復が遅れると予測し下方修正した。売上高は2240億円(修正前は2380億円)、営業利益が160億円(同200億円)、経常利益が171億円(同205億円)、純利益が121億円(同142億円)を見込む。