三陽商会は、総合カタログ「サンヨー・スタイル・マガジン」を3日に発行する。3年前から運営する同名のウェブマガジンの紙版となる。デジタル化の進展に伴い、印刷物のカタログは各社で縮小傾向にあるが、同社ではコロナ下での一部ブランドで発行した紙のカタログが好評だったことを受けて、14ブランドを網羅した総合カタログの発行を決めた。QRコードでオンラインストアに誘導したり、電話を通じて最寄りの店舗で購入を促したりする。
A4サイズ全48ページで構成し、メンズ、ウィメンズのブランドごとの提案だけでなく、トレンドやシーン別のスタイル提案を行う。創刊号ではコートを特集した。三陽商会の会員顧客、店舗に来店する客に向けて10万部発行する。
また掲載商品を最寄りの店舗に取り寄せて、試着したり購入したりする仕組みを一部で導入する。地方在住でブランドとの接点が持てない客に、実物に触れてもらう機会を作る。全国19の地方百貨店で実施する。
同社はウィメンズの「エヴェックスバイクリツィア」、メンズの「スコッチハウス」で電話注文できるカタログの発行をコロナ下で実施してきた。繁華街への外出を控える顧客に、ブランドとの接点を提供。あまりECに慣れていない中高年の顧客に向けて、最寄りの店舗の電話番号とLINEアカウントを記載して、顔なじみの販売員の説明を受けながら新作の服を購入できるようにした。これらが好評だったことから店舗やECと連動したカタログを通じ、コミュニケーションを深める施策を拡大する。
最近はデジタル化の進展に伴い、紙のカタログを止める企業が多い。家具専門店の「イケア」は全世界で最大2億部発行してきた紙のカタログを20年に終了。婦人下着の「ピーチ・ジョン」も30年続けてきた紙のカタログを19年で止め、ECと直営店に完全移行した。
一方、TSIで2ケタ成長を続けるゴルフウエア「パーリーゲイツ」は、年4回発行する紙のカタログを顧客コミュニケーションの重要なツールとして位置付け、撮影や編集に力を入れる。「毎シーズンのカタログが届くことをステータスに感じてくださるお客さまが多い。掲載商品のデリバリー時期を確認し、行きつけの店舗で予約を入れるケースも珍しくない」(同社広報)という。