サンフランシスコ発のフットウエアメーカー、オールバーズ(ALLBIRDS)は11月3日、米ナスダック(NASDAQ)に新規上場(IPO)した。
公開価格は1株15ドル(約1710円)に設定され、調達額は3億ドル(約342億円)以上。初値は21.21ドル(約2417円)と公開価格の41.4%高を付け、終値も28.89ドル(約3293円)となるなど好調な滑り出しを見せた。時価総額はおよそ40億ドル(約4560億円)。
オールバーズは、元プロサッカー選手のティム・ブラウン(Tim Brown)共同最高経営責任者(CEO)と、再生可能エネルギーの専門家であるジョーイ・ズウィリンガー(Joey Zwillinger)共同CEOが2015年に創業。自然由来の素材を使用したミニマルなデザインが世界中で人気を博し、現在はシューズだけでなくアパレルやアンダーウエアも手掛けている。同社は現時点で世界に35の直営店を構えているが、20年の売り上げの89%はECによるものだという。日本では20年1月に東京・原宿に初出店し、21年6月には同じく丸の内に2号店をオープンした。
ブラウン共同CEOとズウィリンガー共同CEOは、同社のクラスB株式を合計2830万株保有しており、議決権の22.3%を握っている。同社の場合、クラスB株式はクラスA株式の10倍の議決権を持っている。
オールバーズが米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)に提出した届出書によれば、20年12月通期の売上高は前期比13.2%増の2億1929万ドル(約249億円)だったものの、純損失は前年の1452万ドル(約16億円)から2586万ドル(約29億円)へと赤字が拡大している。また、21年1〜6月期の売上高は前年同期比26.6%増の1億1754万ドル(約133億円)と増収だったが、純損失は前年同期の950万ドル(約10億円)から2112万ドル(約24億円)へとやはり赤字が大幅に拡大している。同社によれば、これは主にマーケティングおよび営業費用が増加したことによるという。
同社はBコープ認証を取得しているため、利益と社会的意義を両立させ、社会や地球環境保全のためにどのような成果をもたらすかに関するリポートを発表する義務がある。同認証は米国の非営利団体Bラボ(B LAB)が制定したもので、社会や環境に配慮した事業を行っている営利企業に対して付与されるが、基準が極めて厳しいことで知られている。