毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2021年11月29日号からの抜粋です)
小田島:編集長が他媒体の編集長を多数取材するというのは「WWDJAPAN」ならではですが、いかがでしたか?
村上:「メディア、どこも頑張ってるじゃん!」と勇気づけられましたね(笑)。それぞれの媒体、なによりブランドとしてのビジネスがそれぞれらしく進化し始めたなと感じました。紙媒体にはどこも独自性があったのに、黎明期のウェブはどの媒体もトピックスを時系列に紹介する形になってしまって、正直「らしくないな」と思っていましたが、それぞれらしく進化しています。会員制を導入し始めた媒体は多く、量より質のシフトも鮮明です。読者にいかに深く刺さるかが問われますね。その人たちに何をしていくかが焦点なので、この先は読者と彼らの志向に応じて、どんどん独自性が増すと思います。
小田島:ウェブやSNSによって、読者やユーザーと直接コミュニケーションが取れるようになったという変化も大きいですよね。読者が編集長のSNSアカウントにダイレクトメッセージを送るような双方向性が生まれています。
村上:一方で「クラッシィ(CLASSY)」のライター養成講座や「MEN'S EX」の選択肢が増え過ぎて着るべき服が分からなくなってきた働く男性に向けての装いセミナーは、ものすごく深く、直接寄り添うイベントですよね。イベントからSNSまであらゆるフォーマットに対応できるのは媒体に対する信頼と、長年の知識や経験の蓄積がある編集者がいるから。それを生かすビジネスがどんどん芽生えているし、それだけ編集者の視点や意志が重要になっているとも感じました。
小田島:よりプロとしての視点や経験が編集者に必要ですね。
村上:「ハニカム」の武井幸久編集長の個人名刺には“edit everything”とありました。編集者が編集するものはどこかに掲載するコンテンツに限らず、もっと広がっている。それが多すぎて&新しすぎてツラいと思うか、今までできなかったことだから楽しい!と思うかは編集者次第だけれど、「レオン(LEON)」の石井洋編集長がいう“編集者2.0”になれるかどうかの岐路には立っているんでしょうね。我が社の記者&編集者のアプデを促しましょう(笑)。