ファッション

「ディオール」2016年春夏パリ・コレクション

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邪心があっては着こなせない?無垢な白のコットン“ランジェリー”

まず驚きは、「ディオール(DIOR)」がこの日のために用意したショー会場だ。ルーブル美術館の一画に本物の芝と紫の花で覆った丘を作り、その中にランウエイと客席を用意した。歴史あるルーブルに突如現れたそれは、自然をモチーフにしているものの、あまりに非現実的であるため近未来的な印象を受ける。まるで遠い昔に存在していた丘が突如現代のパリにワープしたみたいだ。

先に発表した2015-16年秋冬オートクチュールに続き、アーティスティック・ディレクターのラフ・シモンズは、彼なりの“女性らしさ”の答えをランウエイで見せた。ラフにとっての女性のセクシーやセンシュアルは、ピュアネスの中にある。無垢であるほど本能的でエロチック。そんな女性観を垣間見せる。邪心や虚栄心があっては着こなせない。着る女性にとっては、女としての“純度”が試されるコレクションだ。

象徴するのは繰り返し使われたコットンオーガンジーのランジェリー風アイテム。真っ白なスクラップヘムのTシャツやショートパンツは、昔の女性が下着として着ていたようなアイテムでどこか素朴。肌が透けそうで透けないギリギリの透明感が保たれており、ピュアゆえにエロチックだ。のどに巻き付く蛇のようなアクセサリーもまた意味深。このコットンオーガンジーのアイテムは、ジャケットやシルクニットとのコーディネートアイテムやドレスとして何度も登場した。

シグニチャーアイテムである“バージャケット”は、裾をプリーツで切り替えたり、ニットで仕立てたり、時には袖をカットオフしたりとバリエーションを広げ、中にはサファリジャケットの要素を取り入れたものも。

ドレスも胸の谷間やヒップラインなど女性の身体の凹凸を強調することなく、ペールトーンのオーガンザでふんわりと包み込む。ただし色は、ペールピンクにラベンダー、そこに大胆に差し込む黒とやはりどこかエロチックだ。

 

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