ホームセンター大手のカインズは22日、東急不動産ホールディングス傘下の東急ハンズを買収すると発表した。カインズは郊外を主戦場にしてきたが、大都市に強い東急ハンズの店舗網を取り込む。譲渡予定日は2022年3月31日で、譲渡額は非公表。
1976年創業の東急ハンズは国内外86店舗を営業する。DIYや生活雑貨を中心に幅広い商材を扱うが、EC(ネット通販)などとの競合激化もあって収益性は悪化していた。コロナ下の21年3月期の売上高は前期比35%減の619億円で、営業赤字に転落した。
89年設立のカインズは、1万平方メートル規模のホームセンターを28都道府県に227店舗運営する。親会社は売上高1兆円企業のベイシアグループ(群馬県前橋市)で、作業服のワークマンは兄弟会社になる。21年3月期の売上高は前期比10%増の4854億円だった。
22日夜に記者会見したカインズの高家正行社長は「当社の基盤を東急ハンズに使ってもらい、磨きをかけたい。両社で新しいDIY文化を作る」と話した。カインズが持つオリジナル商品の開発基盤、ECやシステムなどのデジタル基盤、国内外の物流基盤を共有することで、カインズと東急ハンズの特色を維持しながら相乗効果を出していく。
屋号については当面は「東急ハンズ」を継続するが、適切なタイミングで新しい名前に変える見通し。
ベイシアグループはショッピングセンターのベイシア、ホームセンターのカインズ、作業服のワークマンなど、いずれも地方・郊外を主戦場にしてきた。だが、ワークマンがカジュアルウエア拡充によって都市部での出店を始めたのに続き、カインズも東急ハンズを取得して都心マーケットの攻略に乗り出すことになる。