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ファーストリテイリング財団が難民支援 学習支援教室をメディアに公開

 ファーストリテイリング財団はこのほど明治学院大学で、「難民子女のための学習支援教室」をメディア向けに公開した。同教室は、2018年に設立した同財団がいくつか行っている支援活動のひとつで、日本在住の難民の小中学生、高校生を対象にその学力を向上させ全日制高校・大学への進学や将来の選択肢を広げることを目的としている。

 社会福祉法人さぽうと21が難民からの相談窓口や教室運営を行い、明治学院大学が教室や学習の効果測定を提供。活動を支えるのはボランティアスタッフで同大学の学生も参加している。東京・錦糸町での毎週日曜日の対面教室に加えて、オンラインでは毎日教室を開き、春・夏休みには集中学習教室を開催している。同財団はこの活動に2020年度は1050万円を支援した。

 現在は61人の難民が受講している。出身国はミャンマー45人、シリア6人、エジプト5人、アンゴラ2人、アフガニスタンとコンゴとウガンダがそれぞれ1人。うち22人が難民の両親を持つ、日本生まれの子供たちだ。

 さぽうと21は1979年から日本で暮らす難民などの教育を支えてきた。現在ミャンマー出身の子供が多いことに理由ついて矢崎理恵コーディネーターは記者会見で、「1988年の民主化運動以降、ミャンマーから逃れた人が日本で結婚し、その子どもが教室を利用している」と説明。両親の多くは非正規雇用や無職など経済的に不安定な状態に置かれているという。「やむを得ず日本に逃れてきた難民の多くが、子どもにはしっかりした教育を受けさせたいと考えている。彼らは日本にとっても貴重な人材だと思う」と話す。このような背景から当初の目標は全日高校への進学だったが、現在は進学校、大学への進学へと変化している。

 会見には、教室の卒業生代表として現在は明治大学に通うシリア難民のラーマ・ジャマール・アルディーンさんが出席。小学6年生で来日したころを振り返り「来日したばかりの頃は支援がなく偏見も強く、日本語と文化の壁が大きかった。ボランティアの方が学習をサポートしてくれたことで、精神的に大きな支えになり居場所ができた。これからは私も貢献したいし、応援する側になりたい」と夢を語った。

 難民支援を行う理由について、財団の理事長を務める柳井正ファーストリテイリング会長兼社長は「難民の方は好んで母国を出たわけではない。難民問題は全世界で取り組むべきだ」とコメントしている。ユニクロでは難民を数名採用しており「どの方も非常に優秀で、勤勉である。ファーストリテイリング財団は、日本に居住するさまざまな背景を持つ難民の方の子どもたちに、未来があることを感じさせてあげたい。小学校・中学校が未来を決める大事なときだと思う」とも話している。

 難民は紛争や人権侵害でやむを得ず自国を離れることを余儀なくされた人を指し、「第3国定住難民」「条約難民」「人道配慮」などいくつかの分類がある。同財団の石田吉生事務局長は「当初はどこに何人くらいの難民がいるのかもわからなかった。続けてきて得た知見を活かして、今後は行政や地域と連携して対象地域も広げてゆきたい」と話している。

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