阪急うめだ本店の化粧品売り場の9〜11月の商況は、緊急事態宣言が解除された10月1日以降クリスマス商戦を中心に盛り上がりを見せ、売り上げ・来店客が回復基調に転じた。2012年11月の建て替えオープンを記念した周年企画とクリスマスシーズンを掛け合わせた店舗限定品やホリデーの先行品の展開が売り上げをけん引。クリスマス商戦では早々に完売するブランドが相次いだ。
「お客さまが楽しそうにお買い物をされていたのが印象的で、コロナ禍前のようなアクティブな買い方に戻ってきている」と藤尾瑞子・阪急阪神百貨店阪急うめだ本店ビューティー営業統括部化粧品商品部マーチャンダイザーは話す。来店客の中には、長期にわたりサービスの自粛が続いていたタッチアップを求める声が多く、その要望に応えるように安心・安全を担保しながら可能な範囲で再開した。「これまで化粧品には使用する価値と所有する価値の双方が存在したが、店舗でしか得られない体験価値の重要性を痛感した。しかもお客さまにとってタッチアップをしてもらうのは誰でもいいわけではない。さまざまな資格を持つ美容部員や有名なメイクアップアーティストなどによるレクチャーやテクニックを通じて、『きれいになりたい』をかなえてくれる“人”を介した体験に価値を見いだしており、新しい買い物のスタイルとなっている」と分析する。
コスメ通販サイト「ハンキュウ ビューティー オンライン(HANKYU BEAUTY ONLINE)」では、OMO(オフラインとオンラインの融合)の取り組みが奏功し好調に推移した。得意とするイベントの代わりに、顧客が参加できるオンラインカウンセリングやライブ配信、ライブコマースなどデジタルコンテンツを拡充しECの存在感を高めている。「最近では、密を気にせずゆっくり相談したい場合はオンラインカウンセリングを活用し、製品は店頭で購入するお客さまが増えている。そういったお客さまは、オンラインカウンセリングを受けた販売員から直接、『お手入れを頑張っていますね』『肌が乾燥していますね』といったリアルでしか分からないような一言やアドバイスが欲しかったり、最後は販売員に会いたいというマインドが強い。改めて“人”が大切だと認識した」。
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