良品計画は1月14日、東京・東池袋の本社1階に、「地域密着型小型店」の「MUJIcom 東池袋」をオープンする。店内にキッチンスペースを設け、店内調理した弁当や惣菜を販売する“中食”を打ち出している点が新しい試みだ。「無印良品」の全食品に加え、仕入れの食品、下着や化粧水、トイレットペーパーなどの日用品の合計1300品目をそろえ、「地域のコミュニティーセンターのような店」を目指す。
売り場面積は約401平方メートル、売り上げ構成の70〜80%を食品関連が占める想定だ。地方では、食品スーパー併設などで1600平方メートル前後を標準とする出店が続いている。都心部は「従来は駅ナカといった通行量の多い立地に『MUJIcom』など小型店舗を出店してきたが、どのような店舗のあり方が適しているのか模索している」(片木志倫・営業本部販売部長)という。本社直結の「お客さまの声やニーズをスピーディーに反映していける」場所で、中食を取り入れた「MUJIcom」の新フォーマットを試し、修正・改善していく。
近隣のオフィスワーカーや住民を主対象に、平日は朝8時から夜20時まで営業。401平方メートルのうち、店内中央のキッチンスペースは約100平方メートルだ。小型店舗でも効率よく調理ができるよう、野菜のカットや生地をこねるといった工程は取り組み先の工場で済ませている。野菜中心の日替わり弁当(500円)、量り売りの惣菜を販売するほか、人気のカレーなど50種類のレトルト食品をその場で温めて、ごはんと共に器に盛り付けて提供するサービス“レトルトバー”も行う。仕入れで産直のフルーツや野菜、乳製品などもそろえる。
目指すは地域のコミュニティーセンター
近所のせんべい屋など、地域商店の商品も扱うと共に、入り口すぐに掲げられた大きな地図に地域の見所なども書き込んでいる点もポイント。コーヒーチケットを通常の半額の50円で買って(残り半額は良品計画が負担)、チケットにメッセージを書き込んでボードに貼り、他の客にプレゼントするという掲示板兼ギフトのような取り組み“つながるコーヒー”も、地域交流の一助として行う。
近年、地方へ出店する際は、事前に数年かけて地元住民と交流し、ニーズや課題を聞き取るといった取り組みを行っている。ただし、今回の出店を決めたのは約半年前。「われわれ自身が東池袋の生活者である」(片山隆幸・食品部事業戦略担当課長)という考えから、自分たちの中で地域のニーズを導き出したという。22年8月期からの中期経営計画では、国内で年間純増100店の出店を掲げている。「その中の何割が『MUJIcom』になるのかといったことは未定だが、こうした小型店舗は、都心に限らず全国でまだまだ出店余地がある」(片木販売部長)と見る。
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