10:00「ゼニア」展示会
初日の「ゼニア(ZEGNA)」のプレゼンテーションに参加したものの、会場内が混み合っていない時にじっくり見たくて、朝イチで再度展示会場へ。やっぱり行く価値がありました!生地の上質さ、シルエットとカットの美しさ、ギミックが効いたディテールに感動を与えてくれたのですから。タートルネックやインナーシェル、テーラードジャケットのアウトドア×フォーマルの進化系スリーピースは、緩やかな曲線を描くインナーシェルと直線的なテーラードジャケットの組み合わせが、まるで彫刻作品のように優美でうっとりしてしまいます。サイドをカットしたマント型のジャケットは独特のシルエットで、ボトムスのポケットに手を入れた時にジャケットの裾のストレートなラインを保つように計算しているそうです。コットンのように見えるシャツはカシミヤ素材で保温性が高く軽量。スムースレザーの裏地にカシミヤを備えたシャツもありました。スクリーン越しではナイロンかテクニカル素材に見えたアウターも、カシミヤやカーフレザーを使っていました。リブランディングに合わせて、今季から首の後ろに取り付けた2ラインのタグが、新たな「ゼニア」のシグネチャーとしてさりげなく主張してます。なんとそのタグも肌ざわりのいいスムースレザー。どんな細かなディテールも、生地の品質への妥協は一切ありません!
13:00「サントーニ」
「サントーニ(SANTONI)」は今季、フォーマルとスポーティーのハイブリッドを打ち出しました。クラシックなダブルバックルとレースアップに、アクセントとなるボリュームのあるラバーソールをドッキング。アンクルブーツにはファー、スノーブーツにはシアリングを備え、ラグジュアリーなアウトドアのシューズを提案しています。ここまでのミラノ・メンズでは、雪山を想起させるアイテムが多い。ヨーロッパの冬のバカンス先の定番であるスキー場に、次の冬こそは行きたいという願望からなのでしょうか。展示会場内での生演奏に癒され、次の目的地へと向かいます。
14:00「フェンディ」
「フェンディ(FENDI)」は本社をショー会場に、メンズでは1年半ぶりとなるリアルのショーを開催しました。ショー前に、シルヴィア・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)=アーティスティック・ディレクターにデジタルで取材してコレクション内容を聞いていた分、いつにも増して期待が高まりました!室内の収容人数制限の規制により、通常なら1300名のゲストを招待するところ、今季は120名と大幅に減らすことになってしまったそうです。それでもおそらく、ミラノでは多いゲスト数になるのではないでしょうか。
ショーは、ブランドの頭文字“F”を2つ並べたランウエイを、鋭いスポットライトで照らす演出。DJで作曲家のアレッサンドロ・コルティーニ(Alessandro Cortini)が手掛けた音楽でショーがスタートし、54ルックを披露しました。一つとして無駄がなく、特に終盤のルックはシルヴィアさんの思いが詰まっていると感じました。詳しくは、後日公開予定の単独記事をチェックしてください!
15:00「ブルネロ クチネリ」
「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」は今季を“CROSSROADS”と銘打って、新たな視点と知識を得る"旅”をテーマの一つにしています。ブランドらしい優しい色調の中に、キャロットオレンジやザクロレッドといったビビッドな色彩を加えて、デイリーウエアに新鮮な輝きを与えます。快適さと軽さを実現させるためにアウターのフィット感をゆるめ、柔らかいコーデュロイやスーパーファインカシミヤでソフトな質感へと仕上げているのが今季の特徴です。ジーンズやスエット、スキーウエアといったスポーティーな要素でサルトリアルのクラシックなスタイルを現代的にアップデートし、幅広い世代の男性に訴求できそうなコレクションでした。
16:00「グローブ トロッター」
英ラゲージブランド「グローブ トロッター(GLOBE TROTTER)」がミラノで展示会を開くということで行ってきました。私は大きいサイズのラゲージを10年間愛用していて、丈夫な作りと時間の経過と共に深みが増すデザインがとても気に入っています。全面ブラックでシルバーメタルのメンズライクなデザインが新作です。毎月のようにコラボレーションの作品を発表しており、展示会場には映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」と協業した、主人公ジェームズ・ボンドが愛用するオーシャングリーンカラーのシックなものを発見。創業125周年を迎えるアニバサリーイヤーの今年はたくさんのプロジェクトを計画しているそうです。旅の再開へ向けて高鳴る気分を、「グローブ トロッター」が後押ししてくれました!
17:00「アスペジ」
「アスペジ(ASPESI)」は、1969年にミラノで創業したシャツメーカーです。2020年3月には日本初の旗艦店を南青山にオープンしています。22年春夏シーズンから、ローレンス・スティール(Lawrence Steele)がクリエイティブ・ディレクターに就任し、メンズは今季が2シーズン目。“最上級の日常着”をテーマに、テーラードとアウトドアを融合させたアーバンスタイルがブランドの軸です。スティールさんは「常にインスピレーション源は身近にいる人たち」だと言い、今季は「快適性と機能性を重視し、プロポーションはゆったりと余裕を持たせ、リラックスできる洋服を提案している」と続けました。コットン100%のスエットが約3万円、ハイテク素材のミリタリージャケットが約12万円といった価格帯。顧客は、ファッションオタクではないけれど、機能性と品質重視の中間層といったところでしょうか。イタリアンスタイルはもちろん、アメカジ好きにも刺さりそうです。デザインそのものというよりも、ブランディング戦略次第でさらなる成長が見込めそうです。
20:00 「フィリップ プレイン」
ホテルにいったん戻って仕事をした後は、本日ラストの「フィリップ プレイン(PHILIPP PLEIN)」のショーです。展示会場内に座席を作ってショー会場とし、40名程度のゲストが来場していました。“リトル・モンスターズ・ギャング”という5つのキャラクターを制作し、今季は“芸術”をテーマにしたとプレインさんはコメントしていました。原色のキャラクターをプリントしたダウンコートや、総スパンコールのミニドレス、毛の長いフォーファーのロングコートなど、パーティームードの明るい気分が伝わってきました。過去には「プーマ(PUMA)」やフェラーリ(FERRARI)からブランドの不正利用で訴えられた“お騒がせブランド”なので、「今回のキャラクターは大丈夫?どっかで見たことない?」とショーを見ながら別のことを考えちゃってました。シルバーにオレンジ色のチェーンがついたボストンバッグは、あのラグジュアリーメゾンのメンズを想起させましたが……。個人的に、デザインの盗用について興味がないので語らないでおきます。
何ごとも、受け取る人の捉え方によって真実は無数にあるのかも、と考えながら帰路についたら、今日一日何も食べていないことに気づきました。残念ながら「本日のジェラート」はなしで、明日に今日の分も食べちゃうかも。事実がどうであれ、カロリーがいくらであれ、“ジェラートはいくら食べても実質カロリーゼロ”が私の真実です!