「シャネル(CHANEL)」と「サンローラン(SAINT LAURENT)」は2月10日、米「WWD」に知的財産の保護に関する広告を共同で出稿した。
広告の上部に「シャネル」、下部に「サンローラン」のロゴを配置し、中央には共同声明を掲載した。声明の内容は以下の通り。
「フランスのファッションとクチュールメゾンは、フランスの遺産を構成する重要な要素です。彼らのクリエイティビティ、サヴォアフェール(受け継がれる職人技術)、そして世界中の人々にインスピレーションを与える能力は、フランス産業の国際的な影響力に寄与しています。われわれは、盗作や模倣頼みのビジネスモデルを構築している寄生虫のような企業から真のクリエイティビティと創意工夫を守らなければいけません。『シャネル』と『サンローラン」は長い間相互にリスペクトし合い、クリエイションに対する価値や投資の努力を台無しにしたり希釈したりする者に対して、共同で立ち向かっていきます」と記載されている。
ブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlofsky)=シャネル ファッション部門プレジデント兼シャネルSASプレジデントは、「サンローラン」が2021-22年秋冬コレクションに発表したツイードのジャケットが「シャネル」の王道スタイルであるそれと酷似しているとして批判していた。パブロフスキー=プレジデントは当時、「あのような素晴らしいブランドが他のブランドに寄生するのを見るのはとても悲しいことだ。自分たちの歴史を築けず、他人の歴史を吸い取るような行為は実に残念でならない。しかし顧客は騙されることはないだろう。どちらのブランドが最も美しいツイードジャケットを作るかは、お客さまが決めること。私はあまり心配していない」とコメントしていた。
それから9カ月後にこの共同広告の掲載に至ったため、業界関係者を驚かせている。広告出稿の意図について「シャネル」は、特定の企業に向けたメッセージではないとコメントした。また、この広告が法的解決に関連した動きかどうかについてはコメントを得られなかった。