ファッションブランドとブロックチェーン、NFTを結ぶ合同展示会「サイズレス・ツイン(SIZELESS TWIN)」が東京・馬喰町で3月13日まで開催されている。「アンリアレイジ(ANREALAGE)」「ヒルメ(HIRUME)」「串野真也(MSAYA KUSHINO)」「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」「ユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO)」が参加しており、誰でも参加、購入することができる。
これは経済産業省の「NFTを活用したファッション産業における展示会の高度化について実証事業」を委託されたスタートバーン(STARTBAHN)が企画したもので、同社が構築するブロックチェーンインフラ「スタートレイル(STARTRAIL)」を活用している。
販売する“服”は各ブランドとも3種類ある。①リアルな“ユニーク・ピース”②それをもとに生成されたメタバース用3DCGデータの“デジクチュール・スカルプチャー”③プロフィール用合成写真データの“フィジタル・ポートレート”だ。いずれも「スタートレイル」のブロックチェーン証明書が発行される。
“ユニーク・ピース”は会場で、“デジクチュール・スカルプチャー”は NFTマーケットプレイスでそれぞれ販売する。該当のNFTマーケットプレイスやメタバース空間については後日特設ウェブサイトで公開予定。“フィジタル・ポートレート”は、作品の3DCGデータを自身のポートレート写真に合成させた画像データを販売する。会場でポートレート撮影を申し込むと後日合成写真が送られる。価格はブランド、アイテムごとに異なる。
現状、ファッションブランドの収益源は多くの場合、実物の作品の販売に限られている。特にオートクチュール形式で販売される作品は、その購買層も限定的だ。ブランドにとって同展は販売内容の多様化や長期的な作品管理、収益還元が魅力だ。4月9日〜5月2日には、香港のK11アートモールでも展示会を予定している。
本展でデザイナーとスタートバーンをつなぐ役割を担った、「ヒルメ(HIRUME)」の生駒芳子プロデューサーは「ファッション界は変化の中にあり、デジタルトランスフォーメーションは単にオンライン販売ではなく、クリエーションそのものや販売網の広がりを考えなければいけない。その中でNFTはチャレンジであり、実際に制作して3DCGの精度の高さに驚いた。ここには夢がある。NFTはアートシーンでブレークしているが、ファッションにも向いていると思う」と話している。
スタートバーンの施井泰平・代表は「これまでスタートバーンは、アートという領域に特化してブロックチェーン、そしてNFTの技術を提供してきた。アート作品の価値は、たった一度消費されて終わりではなく、長期的な流通の過程で何度も問われ続けるもの。今回取り扱われる作品のように、将来的に何度も価値を問われるクリエイティブであれば、その価値はそれが生まれた瞬間から守られるべきだ。そういった価値継承を支えるために、ブロックチェーン技術は最善策だと考えている。また、流通の管理や還元金などの仕組みを通して収益源を複線化し、クリエイターを支えつづけることができるという点にも期待が寄せられている」と言う。
■サイズレス・ツイン展
日程:3月4〜13日
場所:DDD HOTEL、まるかビル
住所:東京都中央区日本橋馬喰町2-2-1、 東京都中央区日本橋馬喰町2-2-14