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好調のモンクレール、ビジネスとサステナビリティをCEOが語る

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 「モンクレール(MONCLER)」が好調だ。2021年通期決算(12月期)の「モンクレール」の売上高は前期比26.6%増の18億2416万ユーロ(約2353億円)で、昨年にECビジネスを内製化したこと(現在売り上げの15%を担う)や、値上げを行ったことなどが要因にある。他方で同社は20年10月にサステナビリティプランを発表し、21年1月には環境配慮型素材を用いたコレクション「ボーン トゥ プロテクト(BORN TO PROTECT)」を発売するなどサステナビリティに本格的に着手している。レモ・ルッフイーニ(Remo Ruffini)会長兼最高経営責任者(CEO)に、ビジネス戦略とサステナビリティについて聞いた。

WWD:22年1月にファーフリー宣言をした。

レモ・ルッフィーニ会長兼CEO(以下、ルッフィーニCEO):サステナビリティとは、私たちのビジネスを改善するための道であり、今こそさらなる一歩を踏み出すときだと判断した。この決定は、モンクレールの責任あるビジネスにおけるコミットメントと一致しており、イタリアの動物愛護団体「LAV(1977年にイタリアで設立した動物の解放や権利、環境保護を訴える団体)」と建設的かつ長期的に取り組んできたことが基盤にある。私たちは毛皮の廃止とお客さまの期待に沿う品質の適切な代替品の提供を検討してきた。条件を満たす素材を提供できるのは今と確信している。

WWD:「ボーン トゥ プロテクト」について、他と区別してラインを設ける理由は?

ルッフィーニCEO :「ボーン トゥ プロテクト」コレクションは、環境負荷の少ない素材を使用した製品を示し、それは「全て」であり「一部」でもあるといえる。「モンクレール」の「モンクレールコレクション(MONCLER COLLECTION)」「グルノーブル(GRENOBLE)」「ジーニアス(GENIUS)」で「ボーン トゥ プロテクト」のアパレルを展開していると同時に、「ボーントゥ プロテクト」は1つのコレクションでもあるからだ。21年1月はジャケットのみを数点展開したが、22年1月からはフルルックに拡大した。サステナビリティ・ハブとなることを目指している。

WWD:サステナビリティに舵を切ってからの反響は?

ルッフィーニCEO:まず、世界が直面している大きな環境問題に対し、企業として貢献することが重要だ。それは若い世代の間でサステナブルな製品に対しての感度がより高まっている点にも通じる。「ボーン トゥ プロテクト」コレクションを発売して以来、環境負荷の少ないさまざまな素材を使用した製品を発表しているが、まだ十分な割合ではない。

WWD:「2020 - 25サステナビリティプラン」は、気候変動対策、循環型経済、公正な原料調達、多様性の強化、地域社会への還元という5つに焦点を当てているが、数字で語れる進捗があれば教えてほしい。

ルッフィーニCEO:コミットメントには、23年までに従来型の使い捨てプラスチックのゼロ化、世界中の自社拠点で再生可能エネルギーを100%使用、支援を必要とする10万人の人々の寒さからの保護、25年までにナイロンの50%をサステナブルに、30年までに科学的根拠に基づくCO2排出量の削減などが含まれている。

 まもなく発表する21年の非財務情報には全ての進捗が記載される予定だ。モンクレールグループが全世界の自社事業においてカーボンニュートラルを達成したこと、エネルギーの80%を再生可能エネルギーでまかなったこと、21年の「モンクレール ジーニアス」のアウターウェアの30%が低環境負荷素材で作られたこと、ナイロンの生産くずはモンクレールが使用している認証を受けたダウンと同様にリサイクルされ始めたことなどが含まれる。また、シングルユース(使い捨て)プラスチックの約87%に再生プラスチックとリサイクル可能なプラスチックを、モンクレールブランドのパッケージの100%に低環境負荷素材を使用した。グループ全体のスタッフの70%が女性、管理職の52%が女性、就業時間中に3500時間のボランティア活動を実施、地域コミュニティに360万ユーロ(約4億5000万円)を投資、過去5年間で8万人を寒さから保護したことなども発表される。

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