「ミスター・ジェントルマン(MISTERGENTLEMAN)」はこの春、設立10周年を期にリブランディングし、ブランド名を「ソフトハイフン(SOFTHYPHEN)」に変更する。春夏・秋冬といった新作発表の周期をなくし、サイズ展開を拡大してユニセックスで着用できるようにする。4月中旬に東京・青山の直営店、公式ECをリニューアルし、デビューコレクションを発売する。既存の取引先をベースに卸売りも継続する。
昨年1月、「ミスター・ジェントルマン」で吉井雄一デザイナーとデュオを組んでいたオオスミタケシさんが逝去。2022年春夏コレクションの発表は見送った。「(オオスミさんが亡くなってから)ブランドをやめようか、何度も悩んだ。しばらく何も手がつかなかったし、ブランドをやる意味について本気で考えた」(吉井デザイナー)。
数カ月の空白期間を経て再び前を向いた吉井デザイナーは、自らの胸の中にある率直な思いを綴った。
「世界は今、大きな価値観の変化を迎えています。ファッションが、この新しい時代の価値観を受け止めるには、その存在意義を一から問い直すことが必要になります」。
「けれど、それは過去を捨て、突然、新たなステージに飛び移るということを意味するのではありません。これまで通り足元をしっかりと確かめ、ときに後ろを振り返りながら階段を一段通り登るように進む必要があります」。
ブランド名は、つづりの長い一つの単語を途中で改行し、その単語が次の行まで続くことを示すデジタル書式の記号から。過去を見つめ、未来へと進むブランドの姿を重ねた。「ソフトハイフン」のデビューコレクションは150型。「ミスター・ジェントルマン」の近年のエッジィなデザインを封印し、スタート当初の“ポストモダンクロージング”のコンセプトに回帰した。トラッド&ベーシックを軸に、ひねりの効いたデザインを忍ばせる。「ミスター・ジェントルマン」のアーカイブから復刻したものもある。
一部の商品に見られる異素材の大胆な組み合わせは、オオスミさんが得意としていたクリエイションを彷彿とさせるものだ。吉井デザイナーは「(オオスミさんとは)コレクションはいつもお互いのアイデアをキャッチボールしながら作っていた。今は自問自答しながらだけれど、僕の中のどこかに彼(オオスミ)がいる感じがして。『こんなデザインはどうかな?』と聞きながら作っているのかもしれない」と語った。