ユナイテッドアローズ(以下、UA)はこのほど自社ECサイト「ユナイテッドアローズ オンライン」とスマートフォンアプリをリニューアルした。基本機能の改善による顧客体験(CX)の向上を第一に、運営の体制やシステムをテコ入れした。評価の高い同社の店頭接客にCXを近づけることで、大手ECモールや他社ECサイトと差別化する。コロナで打撃を受ける中、自社ECサイトの底上げは最重要課題の一つとなる。
ZOZOへの委託から自社運営に切り替え、フルフィルメント拠点は千葉県流山市にある自社物流センター内に設置した。自社ECや店舗、ECモールで販売するフリー在庫を持つことで効率化を図り、商品は最短で当日出荷、翌日配達が可能になる。置き配サービスにも対応する。
サイトは、検索機能や商品情報の充実といった基本機能の改善に取り組んだ。顧客が商品を見つけやすく迷わない動線を整備し、サイトの表示速度は従来の1.5倍に改善することでたくさんの商品を自由に見て回れる店舗での購買体験に近づけた。また、新たに商品レビューの機能を導入。一方で、有名無実化していた再入荷リクエストの機能をなくしている。サイトデザインは、商品情報を邪魔しないシンプルなデザインを採用した。
DX推進センター担当本部長の藤原義昭CDO(最高デジタル責任者)は、「UAの原点を振り返ると、お客さまから支持されているのは店頭での接客だ。それを崩さずにECでどのように実現すべきかを考えた」といい、スタッフによるスタイリングや特集などのコンテンツを充実させ、スマートフォンアプリでも閲覧可能にした。「お客さまの声を聞きながら、買い物がしやすい環境を整えていく先に理想のOMO(オフラインとオンラインの融合)が実現できると考える。スタッフスタイリングも重要な施策の一つだ」と藤原CDO。手薄だったソーシャルメディアやLINEの導線も強化して、新規客を集める。
また、店舗での試着サービスを再開する。EC上で気になった商品を店舗で取り置き、最短で翌日試着ができる。「EC上での買い物ばかりが続くと、結果として離反につながる傾向がはっきりしている。ECに流れたお客さまに再び来店するきっかけを提供し、五感を使った購買体験やスタッフの接客に触れる機会を意図的に作り出していく」。
現在、同社の売上高に占めるEC比率は約3割で、公式アプリの会員数は約130万人。藤原CDCは「現段階で数値目標は立てていない。サイトが一時停止した2年前とは違い、社内にEC開発専門のチームを構え、細かい改善を重ねられるようになった」と話す。リニューアル後も実際の顧客の反応を見た上で、柔軟に修正していく。
3月14日〜4月3日までの期間にはキャンペーンを実施し、UA各店舗またはECサイトで税込1万1000円以上購入した人を対象に、抽選で最大10万円、総額1億円分のポイントを進呈する。また、「ユナイテッドアローズ」「ビューティ&ユース」「グリーンレーベルリラクシング」などの各ブランドからリニューアルを記念した商品を企画した。