2022-23年秋冬シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が3月14日に開幕しました。3日目は華々しいデビューショーを飾った「タナカ ダイスケ(TANAKADAISUKE)」や実験的なショーを行った「ベッドフォード(BED J.W. FORD)」など、多彩なラインアップが目白押しです。記者3人がその日に発表したブランドから面白かったブランドを“今日の東コレピックアップ“と題してダイジェストでリポートします!
東コレ取材4シーズン目
編集部 美濃島
「ベッドフォード(BED J.W. FORD)」1 / 1
見どころ:「ベッドフォード」の実験的なショーが面白かった!経済産業省による“産業高度化推進事業“の一環で、ボリュメトリクス撮影(撮影物の形や位置、動きなどをデータ化し、ARなどに応用できる技術)を活用。QRコードを読み取ると該当ルックの3Dデータがスマホに現れ、カメラと連動してその場がランウエイになります。ルックのイメージが伝わってくるし、モデルのウオーキングもリアル。服の細部まで見えるわけではありませんが、今後の可能性を感じました。フィジカルショーは、バックステージとランウエイを一体化させた開放的なロケーション。「親しみのあるスタッフやモデルとショーの仕事ができるのが、東京で発表する価値」と山岸慎平デザイナーが語った通り、ショーの前後でモデルやスタッフがそれぞれに会話を楽しんでいたのが印象的でした。コレクションテーマは“男の子“。クラシックで色気のあるテーラードジャケットやひもを垂らしたシャツなどを軸に、花のモチーフや星のバッジ、仮面ライダーのようなスカーフ、長い耳当てが付いたハットなど、少年時代に親しんだ要素を散りばめました。淡いブルーやイエローのカラーパレットもどこかノスタルジック。現場の和やかな空気感とウエアのビュアなムードがマッチした、気持ちいいコレクションでした。
初取材のルーキー
編集・記者 福永
「チノ(CINOH)」1 / 1
見どころ:茅野誉之デザイナーの「チノ(CINOH)」は、前シーズンに引き続き、オンラインでコレクションを発表しました。映像は、それぞれ異なるカラーのコートをまとった女性が勇ましく歩く後ろ姿からスタート。茅野デザイナーの「表面の質感にこだわった」という言葉通り、凹凸でうねりを表現したアイテムや、立体感のあるベルベットを使った素材感が目を引きました。ダブルのコートやベスト、ハイネックのニット、スラックスなどのタイムレスなアイテムが多く、“洗練されたナチュラル“という印象です。中盤以降は、一面に草と林が広がる空間。都会的なファッションと自然背景のギャップが、人の持つ生命力をより鮮やかに映し出しているように見えました。着る人の内に秘めた強さや輝きを際立たせるのは、このような普遍性がベースにある服なのかも――そう感じ取れる映像でした。
東コレ取材は10年目
ファッションリポーター大杉
「タナカ ダイスケ(TANAKADAISUKE)」1 / 1
見どころ:田中大資による「タナカ ダイスケ」が、母校である大阪文化服装学院のサポートで初のショーを開催しました。田中デザイナーは、「ケイタマルヤマ(KEITA MARUYAMA)」で経験を積み、刺しゅうアーティストや衣装デザイナーとしても活動。デビューから2年目ですが、デザイナー自ら手掛ける繊細な刺しゅうでロマンチックなスタイルを確立し、業界にもファンを増やしています。デビューショーでは、アイコニックな刺しゅうをふんだんに施したドレスやテーラードアイテムがズラリ。モデルにスポットライトを当て、スパンコールをのせたシースルーのドレスがキラキラと輝いていました。メンズモデルが着こなした、背面に羽を刺しゅうしたジャケットとパンツのセットアップなども印象的。日常と非日常の狭間を美しく描きました。ショー後に「楽しかった!次もショーを行いたい」という田中デザイナーは、やる気も実力も充分。手の込んだ刺しゅうアイテムが多いため、現在は卸を行わず、ECでの受注生産が中心とのこと。今後の動向にも注目したい期待の若手です。