事業者にプラスチックごみ削減対策を義務づける「プラスチック資源循環促進法」が4月1日に施行する。その中の一つに「無料で配布されるプラスチック製品の提供方法」の見直しがある。ホテルなどでの対象製品に挙がっているブラシや歯ブラシ、シャワーキャップなどにはないものの、ビューティ業界ではシャンプーやコンディショナー、ボディーソープといったアメニティーの対応が求められそうだ。
国内業務用アメニティーとして業界トップクラスの実績をもつポーラは、ホテルアメニティーブランドの「シャワーブレイク(SHOWER BREAK)」(シャンプー、コンディショナー、ボディーソープ、リンスインシャンプー)を 2月21日にリニューアルした。容器は、飲料用ペットボトルを中心にリサイクルした100%再生PET素材を採用。従来の原油由来のペット樹脂と比較してCO2の排出量を約63%削減した。外箱ダンボールやカタログには森林認証紙を使用する。「販売個数シェアも多いことから、環境配慮の取り組みとしてある程度の貢献ができるのではないか」(同社広報担当者)と語る。
トライアルサイズをホテルなどのアメニティーとしても展開する「ザボディショップ(THE BODY SHOP)」は、現状アメニティーに特化して何かを実施するということは決まっていない。ただ今後も、コミュニティーフェアトレードで調達したリサイクルプラスチックの取扱量を増やしたり、ギフトパッケージにおけるプラスチックの削減や店舗におけるリフィルステーションを拡大したりするなど、「ブランドとしてできる限りのプラスチック削減に向けた取り組みを拡大していく」(PR担当者)とコメントした。
ビューティ業界では空き容器の回収や水平リサイクルなどを積極的に行っている。花王とコーセーは化粧品事業のサステナビリティ領域において包括的な協働を進めており、花王が推進する「化粧品プラスチックボトルの水平リサイクル」では、花王が21年6月からスキンケアブランド「トワニー(TWANY)」のボトル容器に日本環境設計のケミカルリサイクルPETを採用。2月には「エスト(EST)」「リサージ(LISSAGE)」「デュウ(DEW)」などの新製品に導入した。今後、コーセーの主力スキンケアブランドでも展開する計画だ。
「ナチュラグラッセ(NATURAGLACE)」「ドクターブロナー(DR.BRONNER'S)」などのナチュラルコスメブランドを展開するネイチャーズウェイは、テラサイクルジャパンと協和資材、グラセルと協働し、自社回収した使用済み化粧品容器キャップの水平リサイクルを実現した。リサイクルの難易度が高い複合素材のプラスチック容器ではなく、本体容器よりもリサクルしやすいキャップに焦点を絞ることで、再資源化することをかなえた。
その第1弾製品を「ナチュラグラッセ」から4月27日に発売する。“UV プロテクションベース M”の容器は、自社回収容器由来の原料を40%配合し、残り60%も容器の製造工程から生まれた端材を利用して製造。約300 kgのバージンプラスチック削減を達成した。
こうした取り組みは「プラスチック資源循環促進法」を契機にさらに加速しそうだ。