伊藤忠商事は5日、米国の大手スポーツブランド「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」の日本総代理店であるドームの過半数の株式を取得すると発表した。ドームは、三菱商事出身の安田秀一会長CEOが1996年に創業、ほぼ同時期に創業していた「アンダーアーマー」に目をつけ、2年後の98年には日本の総代理店として輸入を開始していた。伊藤忠は安田CEOを始めとした創業メンバーらから株式を買い取り、買収後の資本構成は伊藤忠と米アンダーアーマーが大半になり、両社での経営体制に移る。伊藤忠は「ドームの経営陣に人を送り込むことは決まっているが、具体的な経営体制については現時点では決まっていない」として、安田会長CEOら現経営陣の処遇に関してはコメントしていない。
米「アンダーアーマー」は後発ながら、米国でも猛烈な勢いで売り上げを伸ばし、現在では「ナイキ」「アディダス」の2大ブランドに次ぐポジションになった。日本でもドームが中心となり、野球などの主力市場の攻略やライセンス生産などで猛烈な勢いで売り上げを急拡大してきたが、この数年はその反動で低迷。ドームは2019年12月期の純利益は約23億円の赤字になっていた。直営店は全国に34店舗ほど展開しているが、多くがアウトレットモールになっている。官報によると直近の20年12月期の業績は売上高が337億円、営業利益が13億1500万円、経常利益が11億7700万円、純利益が11億1400万円。総資産355億円に対し、純資産は48億9700万円だった。
伊藤忠は関連会社にデサントも擁しており、「アンダーアーマー」を加えることで成長分野のスポーツ市場の攻略を進める考え。